第35話 迷宮都市での日々
冒険者登録をしてから、5日が経過した。
その間、俺は周辺に点在するダンジョンの中から、未踏破のものを幾つか攻略していた。
現在、俺がいるのはAランクダンジョン【
草原と青空が広がるフィールド型迷宮だ。
その最深部にて、俺は今ダンジョンボスと向かい合っていた。
――――――――――――――
【ケイオス・ウィング】
・レベル:999
・ダンジョンボス:【天獣の住処】
――――――――――――――
ケイオス・ウィングは強靭な獣の肉体に漆黒の両翼を生やした魔物だ。
レベルは999と、この迷宮都市においても十分に高水準だが――
「……
「ギィィィイイイイイイイイ!!!」
俺との力量差は歴然。
同時に攻略報酬として、『天獣の恩恵』が与えられる。
形は小さな球体状。飲むことで一定時間、風(魔法を含む)の影響を受けなくなるという優秀な性能だ。
しかし、その説明を見て俺は思わずため息を吐いた。
「……また外れだな」
俺からすれば、特に使い道のないマジックアイテム。
売ればそれなりの金にはなるだろうが、それ以上に欲しいものがある。
それはずばり、
今のままでも、俺は並ぶものがいない程の力を手にした。
そのため、これ以上の力を手に入れる必要はないように思える。
……しかし、何事にも例外はある。
思い出すのは先日のアルト戦。
アイツはアダムから譲られたというマジックアイテムを使用し、通常時から10倍以上の力を手にしていた。
アルト自身の実力が低かったため、結果的に圧倒はできたが……仮にあれをSランク冒険者が使っていたらどうなっていだろうか。
「……復讐を成し遂げるまで、油断や弛みは禁物だ」
力はどれだけあっても足りない
だからこそ、また報酬でSPが貰えるダンジョンが見つかれば、【黒きアビス】の時のように無限再生を利用して乱獲するつもりだった。
……のだが、やはり報酬でSPが貰えるのはかなり珍しいようだ。
いくら未踏破ダンジョンを回ろうと、今のところステータスが上昇する報酬は発見できなかった。
「まあ、魔物を倒したら
そう呟きながら、俺は
――――――――――――――
【
・攻撃力+11350
・ネクロ・デモンが所有する武器。敵を倒すたび、その魂を吸収し強化される性質を持つ。
――――――――――――――
ネクロ・デモン(10000レベル)を倒した時に比べたら微々たるものだが、攻撃力自体は上がっていた。
……まあ、【黒きアビス】時代のSP獲得の方が効率がいいのは確かだが。
「とにかく、また別のダンジョンを攻略しないとな」
そう結論を出した俺は、ボス部屋を後にして地上へと帰還する――
――その、途中のことだった。
ダンジョンの中層にて。
俺の耳に、戦闘音らしきものが届く。
「誰か、他の冒険者が戦ってるのか?」
歩を進めていると、徐々に戦闘音が大きくなってくる。
そしてとうとう、俺の視界にその光景が飛び込んできた。
草原のド真ん中にいたのは、フード付きのコートを纏った1人の冒険者。
その冒険者は、1体の魔物と苛烈な戦闘を繰り広げていた。
「くっ!」
魔物の攻撃を躱した拍子に、冒険者のフードが外れる。
その下から姿を現したのは、輝く銀色の長髪と、まだ幼さが残る少女の美貌。
――そして、少しだけ長く、先の尖った両耳だった。
その特徴を持っている種族には心当たりがあった。
「……エルフか」
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