第7話 武器生成とエクストラスキル
自死とボス討伐を繰り返すこと早2か月。
僕はとうとう、冒険者の中でも一握りの人間しか踏み入れることのできない領域にまでたどり着いていた。
現在のパラメータ合計は10310であり、これはレベル1000の冒険者に匹敵する。
ちなみに、新たに獲得した睡眠強化というスキルについても確認しておこう。
――――――――――――――
【睡眠強化】
・睡眠時、HPとMPの回復効率が上昇する。
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僕自身、初めて見るスキルではあったのだが、どうやら能力の説明を見るに睡眠時の回復力が強化されるらしい。
なぜこのスキルを獲得できたのかは定かでないが……僕の予想としては無限再生の発動時、眠っている状態で体が回復していることから特定条件を達成したんじゃないかと思っている。
まあ、毒耐性に比べたら重要度の低い能力だ。
深く考える必要はないだろう。
「むしろ重大な問題があるとすれば……
僕はそう呟きながら、HPとMPの項目に視線を落とした。
「レベルアップがほとんど止まってるせいで、この2つだけは伸び悩んでるんだよね。SPはHPとMPに振り分けられないし……」
そのせいで今の僕は、各パラメータが1000レベル級なのに対し、HPとMPだけ40レベル級という
これでは睡眠強化も、十全にその効果を発揮できない。
そして何より、このままでは同レベル帯の相手――ネクロ・デモンと戦った場合、不意の一撃を喰らっただけで死んでしまう可能性が高い。
「ネクロ・デモンに挑めるまでは、まだまだかかりそうだね」
このHPを物ともしないほど、圧倒的なステータス差をつける必要がある。
改めて僕は、自死を繰り返す決意を固めるのだった。
◇◆◇
『攻略報酬 SPを10獲得しました』
『攻略報酬 SPを10獲得しました』
『攻略報酬 SPを10獲得しました』
その数日後、ブラック・ファングとの戦闘中。
パリンッという甲高い音を鳴らし、僕の持つ短剣が根元からぽっきりと折れた。
「……さすがに、そろそろ耐久力の限界だったかな」
しかし、これは少し困ったかもしれない。
もちろんブラック・ファングを倒すだけなら素手で事足りるが、自死の時はそうもいかない。
短剣を失ってしまえば、心臓を突き刺すという方法が使えなくなる。
「さすがに、素手で自分の胸を貫くのは怖すぎるし、そもそも無理があるからね……」
何か解決策を考えなければならない。
そう考えた僕の視界に、ブラック・ファングの死体が映った。
「そうだ! ブラック・ファングの骨を使って、短剣を作ればいいんだ」
魔物は討伐後、しばらく放置されるとダンジョンに吸収される。
しかし冒険者が回収した部位は例外であり、武器やマジックアイテムの素材として利用できるのだ。
僕は思い至ったままに、この場で短剣を作ることにした。
「これまでに鍛冶をした経験なんてないから、手探りにはなっちゃうけどね……」
骨を剣の形に整えるだけでも、ある程度の道具や技術がいる。
僕は先ほどまで短剣だったはずの刃を親指と人差し指で挟み込むようにして拾い上げた。
「とりあえず、これを使ってまずは剣の形に整えようかな」
そう呟いた後、僕はブラック・ファングの骨に向かって刃を振るった。
僕の攻撃力パラメータがその力を発揮したため、抵抗感すらなく骨に刃が通っていく。
その結果、見事に一本、短剣の形をした刃物が出来上がった。
「火入れなんかもしてないから、耐久力や切れ味含めて不格好にも程があるけど……まあ、一時的に使う分には問題ないかな?」
すぐに壊れるようなら、その時はまた新しいものを作ってやればいい。
ここには無限に素材が存在するのだから。
「それじゃ、さっそく……」
僕は出来上がったばかりの骨短剣を使い、自分の胸を突き刺すのだった。
『魂の再生成が行われます』
◇◆◇
『経験値獲得 レベルが1アップしました』
『攻略報酬 SPを10獲得しました』
『攻略報酬 SPを10獲得しました』
『全ての条件が達成されました』
『エクストラスキル【
それからさらに1か月後。
僕は【
――――――――――――――
シン 15歳 レベル:41
称号:なし
HP:410/410 MP:121/121
攻撃力:4120
防御力:4080
知 力:1480
敏捷性:4070
幸 運:1470
SP:0
ユニークスキル:【無限再生】
エクストラスキル:【自傷の契約】
通常スキル:【毒耐性】・【睡眠強化】
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