妖に育てられた彼女と家族から逃げた僕

@erika_setuna

第1話出会い

僕は足を引きづりながらも自分の育った家から離れようと移動していた

行先はここじゃないどこか

さっきまでの雨が幸いしてか霧が出ている

ある意味好都合だ

さっき父親に殴られた所が冷えて気持ちもいい

ただ、殴られたところが顔面ということもあり

右側がよく見えない

恐らく右側が1番損傷してるのだろう

それでもいい、あんな家を出れるなら

僕はそう思いながら殴られた顔、腹、足を少しづつ気づくいながらも移動していく


僕は何故か親には恵まれなかった

父親はというと僕をずっと目の敵してきたのだ

というより自分のストレスの発散崎を僕にした

その為よく殴られていた

今まで反撃は出来ずされるがままだったが……

とうとう僕は耐えきれなくなり1度殴り返した

それに逆行してというのが今回家を出るに至った経緯だ

前から逃げるつもりではいた、だが力がなかった

思春期を通り過ぎとうとう僕は成人した

仕事を始めようとも思ったのだが体中にある

父親の暴行の跡が原因でどこも雇わなかった

あろう事が見える位置につけてくれていたのだ

だからこそ、一撃反撃をした

もう何も考えていない、我慢の限界だったのだ

ならば遠いとこへ行こう、この親の知らない所へ


暫くいき疲労が回ってつい倒れそうになった

その時目の前にひとつの影が見えた

そして少し戸惑いを含んだか弱い声で

「大丈夫ですか?」と声をかけてきた

優しい女性の声だ、母親を知らない僕に取ってはとても優しく聞こえた

その声に引き込まれるかのように僕は何も言わずそこで倒れてしまったのだ…



目が覚めるとどこかの古風な建物だということはわかった

ふかふかで暖かい布団

こんな心地いいのは久しぶりだ

「あ、目が覚めました?」どこか聞き覚えのある

か弱い声がした

体を起こし当たりを見ると巫女服に身を包んだ若い女性がそこにいた

「はぁ…お陰様で」

「よかった…昨夜急に倒れたので…お体の具合はどうですか?」

僕は体を探った

まだ体中は痛いがだいぶ楽だ

「少し楽になりました…すいませんここまで」

「いえ、あまりにも体中の痣が気になったもので」

体おふきしますねといいその人は優しく

看病をしてくれた

こんなに優しくされるのは久しぶりだ

少し俯いていると今度は着物姿の男が現れた

「小夜、その者の具合はどうだ」

「痣ぐ凄く歩くのも大変そうですが、昨夜よりは少し回復してます」

「そうか」

小夜それが彼女の名前らしい

ただ僕は目の前の男の姿に目を奪われた

僕そっくりな顔になおかつ鴉のような羽が見えるのだ

「若いの」

「は、はいー!」

急に声をかけられ驚きつつ返事をした

「昨夜動揺しつつ小夜はそなたを運んできた、そなた名をなんという」

「ゆ、優といいます」

「そうか、辛いことを聞くがその痣どのようにして拵えた」

「それは……」

とても言えたものでは無い、それに目の前の小夜さんには酷かもしれない

だが、僕はありのままを話した

すると目の前の男は顔を顰め「そうか」と何か考えた

小夜さんは僕の話を聞いて同情の目で見てきて

優しく「それは…お辛いですね」と顔を下げた

少しして男は言い出した

「よし、若いの…我がそなたの家の様子を見てこようその痣が癒えるまでここで療養するといい、小夜」

「はい」

「この若いのの看病頼んだぞ?」

「はい、烏天狗様」

烏天狗…そう聞こえた

確か妖怪の名前だ

そうかだから鴉のような羽があるのか

そう感心していると烏天狗は姿を変えた

いつも僕がする格好だ

「よし、これでいいだろう…さて優よ」

「はい」

「ここが気に入ればいいのだがな」

困ったように笑ってくる烏天狗

その笑みはとても優しげだった



烏天狗が去ると

「それでは優さんこれからよろしくお願いしますね、私は小夜ここで巫女をしています」

「ここって神社…」

「はい、如月神社といいます……人の住むところからは少し離れたところにありますが大丈夫ちゃんと参拝する方はいますよ?」

「そう、ですか……それより烏天狗様って、妖怪」

僕がそう聞くと小夜さんはクスッと笑った

「ええここには妖怪が住み込んでいます…烏天狗様のほかに天狐様や猫又様…座敷童子様もいますから」

「怖くないのか!?」

「………」

怖くないのかと聞くと小夜さんは押し黙った

そしてこう言った

「みなさんは親に捨てられた私の親代わりですから」


小夜さんは話し始めた

生まれてまもない頃小夜さんは母親に

この神社の鳥居の前に捨てられたのだという

それに気づいた烏天狗様があまりにも可哀想だと小夜さんを引き取り

共に住んでいた妖怪達と共に彼女を育てた

小夜という名前は烏天狗がつけたのだという

その話を聞いて僕は小夜さんが少し可哀想に思えた

「それは……」

「でも、皆さん優しく私を育ててくれたので私は幸せですから…それより優さんの方がお辛いはずです…大丈夫、私たちが必ず優さんをお支えしますね」

小夜さんは微笑んだ

その微笑みは本当に優しげで、僕は少し救われた気がした

どうやら僕はこの人を気に入ってしまったらしい

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