黒豆納豆

双葉紫明

第1話

そうだね、うん。

ほんとにそうだ。

だけれど、むつかしいんだよね。

きみがぼくだけから、目を逸していたんだから。

ぼくの、いちばん、ぼくな部分だけから。

それでも毎日、起伏めいて平坦に、弾むようになだらかに。

だらだら続くよ。

近くに居るから遠い。

遠くに居るから近い。

嘘だ。

信じないぞ。

近くに居る間近くて、離れたら遠い。

ありのままなんだ。

でもそれが違うなら?

でもそれが違うなら?

でもそれが違うなら?

でもそれが違うなら?

諦めるしか、ないのさ。

もう、雁字搦めなんだ。

不治の病か。

富士の樹海か。

ふ、痔の痛みか。

どうであれ、もう戻れない。

戻れない。

戻りたくても。

戻れない。

戻らない。

吃らない。

もう、戻らない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る