【7】ダンジョン探索

 最近ではパピーもマミーもお腹の子供を心配し俺はある程度自由が増えている。

 放置はされてないが、俺が5歳にしてはありえないレベルで何でも出来ているので、俺に手がかからなくなったというのが正しい答えだ。


 それもあって俺は、1人でお散歩に行くことも許されている。

 もっとも目の届く範囲で、とは言われてるが。


 そんなもの俺の分身を近くに置いて俺はダンジョンで遊ぶというのが日課になっていた。

 そういった生活を続けたお陰で、遊んでいただけなのにレベルは80まで達していた。

 そろそろ20階層まで行きダンジョンボスを討伐しようと考えていたのだ。



 多分秒殺だろうけど。



 場合によっては更に下の階層にも行こうと思う。

 ちなみに今の親父はレベル6だった。

 あれだけトレーニングしてダンジョンでも鍛えてるの6て……

 本当にこの世界はレベルが上がりにくいようだ。


「父上、母上、少しお散歩してきます」


「おう!帰ってきたら剣の修業をするからな!」


「はい。父上」


「あまり遠くに行かないようにね」


「はい。母上。

 では行ってきまーす」


「行ってらっしゃい」


「さて、分身を作って。これでOK。

 よし行くぞ!キア」


「かしこまり」


「なんかお前さぁ、だんだん適当になってきてない?まぁ別にいいんだけどさ」


「申し訳ありません主。ではギッチギチにカッチカチな喋り方に戻しましょうか?」


「いや……いいわ」


「キア、まずアイツらに会って、そのまま下に行こうと思う。一応は説明しときたいしな」


「そうですね。何だかんだで4年という月日を共に過ごした友人でもありますからね」



 そう。最早アイツらは俺にとって友人なのだ。

 俺やキア以外の者からすれば驚異的な魔物でしかないが、俺の中では魔物という感覚はない。


 叶うことなら……願わくば共に行きたいと思えるほどの友人なのだ。




 ーーダンジョン10階層ーー


 少し気が重い。

 だが伝えるしかないことだ。


「あ!ザハルだ!」


「おーようやく来たな」


「……」


「どうしたの?ザハル」


「あのさぁ、俺、本格的にダンジョン攻略を始めようと思ってて、下の階層に潜ろうと思うんだ。

 ただそうなると、俺が20階層のボスを倒したら20階層より上のダンジョンはリセットされるだろ?

 だから、もう君たちという存在にもう会えなくなるかもしれないって思ってて……それで……」


 魔物たちは顔を見合わせこう言った。


「僕たちはね、ザハルがもっと強くなってもっと深い階層に行くべきだと考えていたんだよ。

 だから気にしないで行って欲しい。

 僕たち3匹の個体は気にしなくていいよ。って言いたかったんだけどね、ザハルさえ良ければなんだけど、僕たちに名前を付けてくれないかな?

 そうしたらさ、僕たちはザハルに着いていけるんだよ」


「いいのか?」


「寧ろお願いしてるんだよ。ザハルの迷惑にならないようにするつもりだし、ザハルさえよければ一緒に居たい!」


「分かった!

 じゃーウォータースライムはマイム。

 オークはグリース。

 スカルナイトはクラーヌ。

 今日この瞬間から君たちの名前だ!」



 名付けをした直後、魔物たちは進化を始めた。

 進化をしたマイムやグリース・クラーヌはレベルが20に上がった。


 良かった。俺は素直にこう思えた。

 コイツらと一緒にまた楽しい思い出を作れると思ったからだ。

 何よりマイム達の寿命はとてつもなく長い。

 折れには長い寿命の友達が絶対に必要だったからだ。


「ザハル!ありがとう!僕たち一気に強くなったみたいだよ!」


「ザハル、これでまた一緒にいれるね」


「感謝するぞザハル」


「こちらこそだよ。じゃー早速下の階層に行こうと思う。一応君たちを俺のシールドで保護しておくが、あまり無理はしなくていい。

 危険を感じたら俺の背後に来てくれ」


「わかったよ」


「キア、彼らを頼む」


「承知しました。主、何階層まで飛ばしますか?」


「もう普通にダンジョンボスでいいだろ」


「そうですね。では、最初に20階層のダンジョンボス、次に30階層のダンジョンボスまでワープして39階層で彼らのレベル上げをしましょうか」


「だな。俺が名付けをしたんだ。少なからず俺の加護も付与されているからレベルが上がりやすくなってるはずだ。少しサポートしてあげれば40位なら一気に上がるだろう」


「だと思います。いやーしかし感慨深いですねー。少し前まで母ちゃんの乳をしゃぶってた子どもが……キアは嬉しいです」


「ちょいちょいディスって来るのなんなの?

 知ってたけどさ、お前、なかなかクソファッキンだな」


「主、クソもファッキンも意味は同じです。

 バカってバレちゃいますよ」


「黙れビチグソ野郎!」


「ビチグソはなかなか酷いです。私は毎日健全なうんこしかしてませんし、何より!私は女です」


「知らんよ!見たこともないし!システムでしかないやんお前!」


「まぁそうですね。主、これ以上は不毛なので止めましょう」


「だな……じゃーワープ頼む」



 スーパー辛口というか、ディスラーのキアさんとの不毛な戦いを止め俺達は20階層のダンジョンボスがいるボス部屋までワープして到着した。


 簡単に説明させてもらって大変申し訳無いが、結論から言ってボスは俺のメストにより秒殺された。

 ボスは超でっかいクマさんだったよ。

 使えそうな素材と肉、あとは魔石を回収してマジックバックへイン。


 そのまま30階層のボス部屋へワープしてここでもメストで一撃。

 30階層のボスは大蛇だった。

 俺は死ぬほど蛇が嫌いなので魔石以外の素材や肉はマイム達にあげた。

 自分より強い魔物を食べたことにより無条件でレベル30へ到達。


 これであれば39階層でも、そんなに苦労することもないであろう。


 39階層に着いてからは、彼等の居住区を作るために整地と掃討を行った。

 結果的にレベルも40になり安心できる範囲になった。

 というか、この階層で最上級魔物になってるし。

 俺もボス討伐とサポートをしたことによりレベルは92にまで成長した。

 念の為に居住区にはシールドを張り俺はこの日の冒険を終了したのである。


 もうすぐレベル100かぁ。

 俺、最早人外だよなぁ……いつかバレるんだろうけど、人類の敵とかにならないよね?


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