第8章




___これから私達はマーズと対峙する事になる。神との決戦はもう幕が開けてしまうのだ。


エリザベス1世「...勝てるかな。」

柴三郎「さぁ。ただ...全力を尽くすしか無い。」

松陰「もうそろそろ着きます。」


歩く度に強い鼓動を感じる。もしも敗北したら。そう考えるだけで 自然と足が重くなる。だが行かねばならない。この災厄は私達の手に委ねられたのだから。

 

信玄「そろそろだろう。頂上まで...。」

謙信「...。」

ジャンヌ「謙信さん...。」

 

皆の顔が暗い。当然だろう。ここで負けたら全てが終わる。その時だった。ふと目の前に巨大な剣が降り立つ。

 

ナポレオン「来たかっ..!」

松陰「皆!構えを!」

 

皆が武器を構え 頂上へ辿り着く。すると赤い煙と共に 影が現れた。

 

マーズ「お前達がジュピターの言う蝋人形共か..。さぁ。いつでも来るが良い。」

 

...始めるしか無い。戦を。

 

松陰「総員!マーズを包囲せよ!」

 

その声と共に皆が駆け出した。そして斬り掛かる。

 

マーズ「たかが人形の文明に遅れを取る俺では無い!」

クレオパトラ「させぬ!皆の者!退避しろ!」

エリザベス1世「パトラ!!」

松陰「退け!クレオパトラ!」

 

だがクレオパトラは聞く耳を持たない。マーズの斬撃をたった一人で防ごうとする。

 

クレオパトラ「妾が守らねばならぬ..!女王としての責務を!」

マーズ「これはこれは女王様。周りへの配慮が足りていない様で。」

 

その瞬間。背後から槍が現れ 皆を串刺しにした。

 

シェイクスピア「っ..!」

ナポレオン「うぐぁっ..!」

エリザベス1世「くっ...!」

 

既に皆が血に塗れ地に伏している。その光景に動揺したクレオパトラまでも倒れてしまう。

 

マーズ「っ..ははっ!人類は所詮肉塊に過ぎぬ。その程度の力しか持っていないのだ!」

ニュートン「おのれ...!」

エリザベス1世「せめて一矢報いなきゃ...歴史が無に帰す!」

ジャンヌ「私がっ...私がやらなきゃ..!」

 

ジャンヌが立ち上がり 槍を手に持つ。そしてもう一つの人格を露にした。

 

マーズ「無駄だ!」

ジャンヌ「それはっ..どうかしらねっ!」

 

二人の武器がぶつかり合い 激しい衝撃波が起こる。

 

シェイクスピア「私達も..行かなければ..!」

松陰「立ち上がる者は立ち上がれ!そして戦え!」

 

皆が起き上がり ジャンヌと共にマーズへ向かう。

 

マーズ「この程度の軍勢...蹴散らしてくれる!」

柴三郎「それはどうかな。」

ナポレオン「柴三郎!」

マーズ「っ!?」

 

柴三郎がマーズの手首を大鎌で斬り落とした。

 

柴三郎「あれには毒があるから...上手く行けば...。」

ナポレオン「ありがたい!」

ジャンヌ「行くわよっ!」

 

再び皆がマーズへ猛攻を仕掛ける。だがマーズも抗戦し 一進一退の攻防が続く。

 

マーズ「人形共がっ..小癪なぁ!!」

ジャンヌ「きゃあっ!」

 

ジャンヌは吹き飛ばされ シェイクスピアは四肢の関節が外れてしまいもう戦えそうにない。

 

ナポレオン「松陰!来るぞ!」

松陰「了解した!」

マーズ「お前もだぁぁっ!!」

 

彼の斬撃を間一髪で躱した。彼の一瞬の隙を私の刀で狙う。その刃が彼の右肩へ入り込み 深く抉った。

 

マーズ「...ふっ。」

 

彼が薄笑いしたその瞬間。腹に熱い物を感じる。辺りを見渡すと 皆の腹に剣が貫通していた。もう諦めるしか無いのかもしれない。そう絶望し 辺りを見回したその時。二人。二人だけは剣に刺されなかった。

 

信玄「ここからは俺と謙信が受け持つ!休んでおれ!」

謙信「私達が受けて立つ。」

 

二人の顔が赤い。それは返り血か。はたまた自身の血か。だが二人の覇気が辺りを満たす。

 

信玄「行くぞ謙信!」

謙信「了解だ!」

 

二人が同時に駆ける。その速さは尋常では無く まるで風と一体化したかの様だった。

 

信玄「武田の誇り!とくと味わえ!」

謙信「越後の龍の力..とくと受けるが良い!」

 

二人は剣を逆手に持ちながらマーズへ飛来する。

 

マーズ「舐めるなぁぁぁぁ!!!」

 

互いの剣が激しい衝撃波を撒き散らしながらぶつかる。

 

謙信「ここまでの軌跡を無駄にするな!信玄!」

信玄「その言葉..お前に返すぞ謙信!」

 

互いの剣が軋み合う。だが突如としてその均衡が崩れ去る。マーズの身体へ斬撃が叩き込まれたのだ。

 

マーズ「くぁぁっ..!たかが人類にが..この俺に..歯向かうなど..身の程知らずがぁぁっ!!」

 

謙信「信玄!退避するぞ!」

信玄「了解だ!謙信!」

 

二人はその速度を落とさずに距離を取る。

 

松陰「ありがとう..信玄...謙信。」

バートリー「安堵している暇は無いぞ!まだ奴は生きている!」

 

前を向くと 赤黒い煙を纏い その周りには無数の剣が浮遊している。

 

マーズ「さぁ...人類よ..その無知と無能を悔いるが良い!」

 

ここまで来てしまった。本気の神との衝突。ならば私達も 本気で挑むだけだ。

 

松陰「総員!力を解放せよ!神を迎え撃つぞ!」

バートリー「勝機はある!今はただ神を...奴を屠る為だけに力を使え!」

エリザベス1世「皆!一騎討ちだよ!」

マーズ「貴様らぁぁ!図に乗るなよ!」

 

向かい来るマーズをシェイクスピアが受け止める。


シェイクスピア「...神も単純ね。」

 

シェイクスピアが本を投げ捨てると 辺りから無数の手が現れマーズを縛り上げる。

 

ナポレオン「今だ!革命を起こせ!」

松陰「一斉攻撃だ!」

 

向かい来る大量の剣をそれぞれの武器で跳ね返し マーズへ向かう。その時。背後から足音が聞こえた。

 

エカチェリーナ「皆の者!松陰達を援護するのだ!」

ナポレオン「何!?」

 

そこにはエカチェリーナ達がいた。仲間が増え 一気に形勢逆転する。

 

松陰:エカチェリーナ「マーズを叩き潰せ!」

マーズ「ぬぁぁ!」

 

縛りから脱出したマーズが皆に襲いかかる。

 

清正「そんな剣飛ばすだけじゃ私達は死なないよ!」

ジャンヌ「さっさとくたばりなぁ神ぃ!」

マーズ「その程度の攻撃で倒れる俺では無い!」

龍馬「そりゃおんしの願望やろうがぁ!人間の底力ねぶるんじゃねぇ!」

 

皆の攻撃が徐々にマーズを苦しめて行く。もう最終局面だ。

 

松陰「終わらせろ!シェイクスピア!」

シェイクスピア「...そうね。」

 

シェイクスピアは再び本を上に投げる。その瞬間 ページが開かれ 無数の物の怪共がマーズを奈落へ引き摺り込む。

 

マーズ「この俺が人間に敗北するなど...貴様らぁぁぁっ!!」


戦いが...終わった。それに共鳴する様に空が晴れ 日差しが差し込む。


クレオパトラ「妾達が...勝った..!」

エリザベス1世「皆...よくやったよ..」

ナイチンゲール「玄白。手当の用意を。」

玄白「了解!」

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