イン・ダンジョン!!

海鈴

第1章

第1話

「ついに明日は適合試験か、、、。」


 約40年前、ダンジョンの出現から世界は大きく変わった。


 ダンジョンから得られる魔石や特殊なアイテム、そしてそれを守るかのように存在する強力なモンスターたち。それに対応するように人間にも新たな変化が訪れた。


 その変化の中でも特に大きいのはスキルの存在だと俺は思っている。ダンジョンに入りその魔力に適合した者が得られる特別な能力。そしてこのスキルを入手したものだけがダンジョン探索に挑むことができるのである。


 スキルが獲得できるのか否か、その適合試験を受けることができるのは15歳からだ。ダンジョン出現当初はそういった年齢制限はなかったが、長い時間を経て法整備も進んできた。


 そして先日15歳になった俺は、ついに適合試験を受けるのである。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 朝、仕事のある社会人の人々が活動を始めたであろう時間にギルドへと向かう。


 ギルドへ着き受付へと向かう。やはりまだ早朝ということもあってあんまり人はいない。基本探索者が受付を利用するのはダンジョン探索で得たアイテムの換金の時だけだからなおさら人はいないんだろう。


 それでもちらほらと周りにいる人はみんな剣や鎧、杖やローブなどかっこいい装備をつけていてとてもかっこいい。いつか俺もあんなかっこいい装備を身に着けることができるだろうか。


そんなことを考えているうちにすぐに受付に着く。受付の人は眼鏡をつけた真面目そうなお兄さんだ。


「あの、適合試験を受けに来たのですが…。」


「はい。適合試験ですね、受験票はお持ちでしょうか?」


 受験票は誕生日に、国から家に届いたものだ。適合試験は国民の義務のためこのような形で配布されているそう。過去に国が把握していないスキルが犯罪に使われたからこの制度ができたんだっけ、歴史の授業でやったところだ。


 そんなことを考えつつ、受験票を受付さんへと渡す。


「ありがとうございます。少々お待ちください。

 ………はい、確認が取れました。

 星野充ほしのみつる様ですね。」


「はい。」


「私は本日の適合試験の担当をさせていただきます全国探索者協会ギルドの

 斎藤誠さいとうまことと申します。本日はよろしくお願い致します。」


 名刺とともに名乗られる。名刺なんて初めて受け取ったので少し緊張する。

 

「斎藤さん、よろしくお願いします。」


「それでは早速ですが、試験の方始めさせていただきます。私についてきてください。」


もう試験が始まるのか。試験とはいってもダンジョンに入って適合しているか確認するだけだからすぐにできるのかも、こういうのは実際に受けてみないとわからないことだから面白いな。


「ここが、ギルド所有のEランクダンジョンになります。

 中に入りますのでついてきてください。」


「わかりました。」


 ついに着いてしまった。もし適合しなかった場合、これでダンジョンは見納めか…。あとこんなTHE・時空の裂け目みたいなところに入っても本当に大丈夫なのだろうか、少し不安だ。


 まぁ男は度胸というし、斎藤さんもどんどん進んでいる。さっさと入ってしまおう。ダンジョンゲートに手を入れてみると、手がぬるりと飲み込まれる。その様子は少し怖いけど、目をつぶって勢いよく入る。



〈個体名:星野 充の魔力適合を確認。

 それに伴い、スキル、ボードの付与を実行しました。〉


 !?

 これは適合した時に流れるというアナウンス!

 やった!俺は適合できたんだ!


「ふふっ…。あっ、失礼いたしました。」


 驚いたところをばっちり見られてしまったのか、少し笑われてしまう。とても恥ずかしい、、、。流石に初対面の人にこんな微笑ましいものを見るような目を向けられて平然としていられるほど俺は強くないのだ。


「その様子だと適合できたみたいですね。おめでとうございます。」


「あっ、ありがとうございます。」


「それではボードを確認したのち、私にもお見せください。」



 そうだ!せっかく適合できたんだからスキルを確認しなければ。これで探索には使えなさそうなスキルだったらぬか喜びになってしまうからな。

 

 聞くところによるとボードは、考えるだけで操作できるらしい。そんなことを言われても思考操作なんて最先端の技術は使ったことがないが、とりあえず念じてみよう。



 ______________

 星野 充

 魔力ランクF

 スキル

〈入〉

拡張スキル

 ______________



 うわっ本当に出た!しかも何だこのスキル、よくわかんないな。

 とりあえず鈴木さんが見えるように、思考操作で公開設定にして、、、。



「、、、はい確認できました。」



 近い!いつの間にか背後を取られていた。これがモンスターだったら危なかったなぁ。ここはもうダンジョンなんだから気を引き締めていかないと、ダンジョン探索の心得みたいなサイトを読み込んでおいたほうがいいかもしれないな。


「それでは一度ギルドに戻り、充様の探索者カードをお作り致しますので再び私についてきてください。」


 気を引き締めてすぐにダンジョンから出る。いってもここはダンジョンに入ってすぐの場所だからめったにモンスターなんていないんだけどな。またあの裂け目、ゲートを通ってギルドへと戻る。


「それでは、今から充様の探索者カードを作成するので少々お待ちください。」


「はい、わかりました。」


 さて、鈴木さんが行ってしまったので暇になってしまったな。


 そういえばさっき適合によって手に入れたスキル、たしか〈入〉だったっけ?あんなスキルまであるとは、スキルを作っている人がいるならどういう意図でこのスキルを作ったのか聞いてみたいな。


 このスキルでどうダンジョン探索をすればいいんだ。一応スキルを得た人は魔力によって身体強化がされるらしいけど、さすがにスキルなしでダンジョン探索はハードだ。


 さっきまでそんなに気にならなかったけどいきなり不安になってきたぞ。これからの探索者生活は大丈夫だろうか。



「充様、こちらが充様の探索者カードになります。

 ご確認の上、正式に登録しますので一度手に持ってみてください。」


 鈴木さんが青色のカードともう一つ、小さい冊子をこちらに渡してくる。そのカードを手に取った瞬間。何かが身体の中から抜けるような感覚の後、カードがかすかに光を帯びた。カードには、俺の名前と探索者ランクFの文字が刻まれている。


「これにて探索者カードの登録は完了となります。只今、カードに充様の魔力が登録されたため充様以外の方は使用できなくなりましたが、このカードは探索者様の身分を保証するとともに武器携帯の許可証にもなっているため紛失にはくれぐれもお気を付けください。」


「はい!わかりました!」


 鈴木さんが黒い笑顔で説明している、、、。絶対に気を付けよう。



「それとこちらの冊子はダンジョンに置いての基本情報や豆知識。禁止行為などが記載されています。主に禁止行為については必ず頭の中にお入れください。」


 確かにそれは大事だ。知らずのうちに禁止行為をしてしまっていたなんてことになったら大変だし。


「これにて適合試験は終了し、充様は正式な探索者となられましたが、本日、探索は致しますでしょうか?」


「いいえ、今日はスキルなどを試してみたいので明日から探索へは行ってみようかと思っています。」


「かしこまりました。またのお越しをお待ちしております。」



 ついに俺も今日から探索者かぁ。早く家に帰ってスキルの検証しないとな!


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