第3章 身代わり

第69話 5年

 ヨタドリとこの拠点に来てから5年が経った。5年という月日は長いものだ。人が成長するには充分な月日である。5年前は僕の腰ほどの高さまでしかなかったゾンとルアの背丈も、今では僕の胸もと近くまで伸びた。


 2人の成長に伴って外部的な変化も現れてきた。ゾンは男の子らしさが、ルアは女の子らしさが現れ、将来はゾンは美男に、ルアは美女になるだろうと思わせる。しかしそんな違いはあれど、2人の目元だったり口元だったりは全く同じパーツで出来ているのではないかと思うほどそっくりである。


 また性格面でもゾンは活発に、ルアは大人しめな性格ではあるものの、甘えたがりな1面であったり、生き物に心優しい1面なんかは全く同じであるところを見るとやはり双子なのだなと思わせる。


 そんな2人は今、巨人族の者たちと戦闘訓練をしている。巨人族の攻撃を避けながら隙を見て近づき攻撃を当てる。最近はかなり様になってきた。昔は目の前の攻撃しか目に見えず、2撃目、3撃目によく被弾していたが最近は後ろの攻撃も軽々と躱わすようになった。目の前の事象以外にも注意を払えるようになったというのもあるが魔法の腕が上がったのも大きな要因だろう。


 僕としては長い時間をかけて2人に成長してもらえればいいと思っている。だが2人とも強くなりたいようで必死に戦闘訓練を行なっている。ゾンはまだ理解できるがルアまで戦闘に関心を持つのは意外だった。


 理由を聞いた時は「弱いと生きていけないから」と、なんとも実直な理由だった。きっと何度も同行させているのがそう思わせているのだろう。


 エルフ族であろう2人はヒト族である僕より遥かに長い寿命を誇る。だから成長もヒト族より遅いと思っていたのだが、現状を見るとそんな事はないな。


 僕がこの森にやってきて初めて動物を狩ったのが15歳の頃だった。だから2人が狩りをするのは15歳よりも後になった時と考えていたのだがもうそろそろでも良いのかもな。

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