俺とパン屋と不思議な少女。

ハヤタマ

第一話 始まり。

「ふわぁ......よく寝た。」

そんな独り言をつぶやき、今日もいつものようにベットを降りる。

「.....まだこんな時間か。」

時計を確認し、ゆっくりと外出の準備をする。

俺の名前は、空乃 薫。

もうすぐ高校一年生になるなんの変哲もない一般人だ。

親はお母さんの一人、それと一人の妹もいる。

「お兄ちゃんおはよ~、今日は一段と早いね?デートでも行くの?」

ドアを開け、からかうように俺に話しかけてくる。

こいつは、空乃 楓。

中学一年生の妹だ。活発な性格で暇があればいつも絡んでくる。

うざいと思うこともたくさんあるが、意外に励まされているのかもしれない。

「.....用があるならドアをノックしろって言っただろ?。

         それと、俺に彼女なんてできてるわけないだろ?」

「いやいや、お兄ちゃん顔はいいんだからさ~全然モテると思うんだけどな~。」

「うるせえなぁ.....あと何も用事がないなら早くドア閉めてくれないか?

                         俺も着替えたりするから。」

「はいはい、わかったよ~。」

まだまだ話したそうな妹を強引に払いのけ、俺はドアを閉める。 

「........彼女...ねぇ...」

着替えながら俺はそんな言葉を漏らした。

着替え終わり、自分の部屋から出てくる。

「おはよう、薫、」

とお母さんの声が聞こえてくる。

「おはよ、母さん。」

「今日は一段と早いのね?何か用事があるの?」

「うん、友達と遊びに行ってくるわ。」

「あら、そうなの?気を付けて行ってきなさいよ?」

「わかってるって、」

そんな会話をしながら外へと出かける。

「行ってきます。」

「「行ってらっしゃーい!」」










「といっても、この時間暇だな。」

集合場所の駅につき、時計を確認すると集合まで30分以上前だった。

「いっつも最後に集まるのはいつも俺だったから慣れないな。

                 ....暇だしそこらへんぶらぶらしておくか。」

いつも通っていた道だが、なんだか今日は違うように見えた。

「そういえばしっかりと周辺を周ったことなかったな。」

いつも通学で通っていた道だがなんだか今日は新鮮味を感じていた。

そんなこんなで駅前付近を散策していると、

駅の近くに立っている小さなパン屋を目にする。

「.....そういえばここのパン屋いつも前通るけど入ったことなかったな。」

とふと思った。いつもだったら気にしなかっただろう。

毎日ぎりぎりで登校してたからな、俺。

「そういや昼飯考えてなかったし、あいつらのためにも買って行ってやるか。」

いつも入らない店に少し心を躍らせながらパン屋へと入っていった。

店内に入ってみると少し古風な店内だった。

少し古臭いと思ったが、

あまりそういう店を見たことがなかった俺は少し見ただけでこの雰囲気を気に入ったようだ。

店内を見回していると

「いらっしゃいやーせー!」

と会計のところから元気な少女の声が響いてきた。

少しびっくりした俺はカウンターのほうを向く。

が、そこには誰もいなかった。

(今...声聞こえたよな?気のせいじゃないよな...?)

そんなことを頭に浮かべながらカウンターへとちかづいていく。

(見た感じ人はいなそうだな.....)

そんなことを考えながらカウンターの奥をのぞき込んでみる。

「....やっぱりいないよな。なんだったんだ?あの声は」

そんなことを言い終わるのと同時に、

「いるよ~!」

と、カウンターの下から笑顔で少女が飛び出してきた。

「?! はぁ...びっくりしたぁ...」

「あ~ごめんね~!驚かせちゃったね~」

と、このお店の制服のようなものと帽子を着た茶髪の少女が立っていた。

「......すみません。なんでカウンターの下にいたんですか?」

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