第11話 君の居ない世界 真陽side
先輩が卒業し、校舎も何処か物静かな雰囲気が漂う今日この頃、僕はお昼の陽射しを浴びながらきぃやん先生と保健室の掃除をする。
「きぃやん先生」
「ん〜?」
「僕も早い内に進路とか決めた方がいいんですかね」
「まぁ、早い方がいいわな…何か無いの?やりたいこと」
「ないですね…きぃやん先生はどうしてこの仕事してるんですか?」
「俺?俺は…ぶっちゃけ好きな人を追いかけてこの仕事に就いたんだよ」
「…へー意外です。てっきり、きぃやん先生は楽がしたいから、この仕事をしているのかと…じゃあ、その人は今はどうして…?」
「まぁ、楽がしたいってのもあるがな…んで、アイツは違う学校で今でも教員をしてるよ」
「きぃやん先生は今でもその人が好きだったり…」
「まぁな…でも、もう結婚してるんだがな」
「…何か…すみません」
「いや、いいよ…ほら、雑巾洗って来るから寄越せ」
「はい」
雑巾をきぃやん先生に渡すときぃやん先生は雑巾を持って外出した。
きぃやん先生が戻って来ると、僕は荷物をまとめて帰宅するべくきぃやん先生に挨拶をする。
きぃやん先生は僕に挨拶をすると机に向かい作業を開始したので、僕は保健室を静かに退室した。
まだホームルーム直後だからか、他の生徒が沢山居る校庭を出て急ぎ足で帰宅する途中、先輩と僕の知らない女の人が、仲睦まじく腕を組んで歩く姿を見掛けた。
先輩は僕が見たことない笑顔で知らない女の人に話しかけていた。
心のモヤモヤを感じながら帰宅して速攻で自室に向かう。
何時までぼんやりとしていたのかいつの間にか部屋は暗くなっていた。
充電切れのスマホに充電器を挿すと留守電が入っているのに気付く、先輩からの電話に出る。
そして、毎晩の通話を済ませ、ベッドに横になると僕はそのまま眠りに落ちていた。
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