第2話

のぞみ号東京行きは、京都へ向かっている。横には、梅田からの阪急京都線が、走っている。

 ユウイチは、何を考えいたのだろうか?と思った。

 ユウイチは、高校時代、俳優になりたいばかりに、「東京の大学へ行きたい」なんて言っていた。本当は、映画の制作をしたいなんて思っていた。そして、映画『Back to the future』みたいな映画を作りたいと思っていた。

 だが、大人しいユウイチは、そのまま、大人しく反論できず、中国地方の公立大学へ進んだ。自分の志を実現はできなかった。

 それ故、大学に入っても、ユウイチは、傲慢だった。

ーどうして、オレは、こうなんだろう?と同級生を見下していた。

 大学の先生もバカにしていた。

 訳も分からず、書店へ行き、作家の自由な言葉に憧れて真似をして、みんなに嫌われた。勿論、公立大学の大学では、栄養学を専攻し、大学院へ進学した。卒業してからは、三重県の畜産試験場で仕事をしていたが、なじめなかった。

 ニワトリの飼育は、優秀だった。

 そして、仕事はできたが、上司と口論になって、やめた。

 長年、付き合っていた彼女とも別れた。

 のぞみ号東京行きは、京都駅に着いた。

 彼女の出身は、京都市内だったか。京都の三条大橋だったか。彼女と二人で、弥二さん喜多さんの像の前で、写メを撮って、がんこ寿司へ行ったとか思い出した。歌人新橋イチローが「三条もいにしえ始まる東海道今となってはビジター多し」と詠んだ。

ー三条大橋も昔は東海道の始まりだった

 今となっては海外旅行の客が多い

 と新橋イチローのブログの解説にあった。

 そんな思い出もすぐに過ぎ去るかのように、そのままのぞみ号東京行きは、出発した。ユウイチは、20代の頃、「クルマで、夜通し、山口まで行った」と言っていた先輩を馬鹿にしていたが、自分も同じと思った。

 そんな思い出を改装しながら、電車は、関ヶ原を超え、そして、岐阜県、愛知県まで来た。

 車内からは、オレンジ色の車両が見えた。城も見えてきた。清洲城だろうか。そして、カタンカタンと音を立てて、

「まもなく名古屋です」とアナウンスが、流れた。ユウイチは、いつの間にか、京都を過ぎて、名古屋まで来たのに、びっくりした。

 本当は、名古屋まで来たらすぐに帰るべきと思ったが、到頭、ここまで来たら、ユウイチは、最後まで、東京まで行こうとした。親やバイト先の上司や彼女には、悪いがそうしようと思った。

 名古屋を出発してから、オレンジ色の車両を車窓から見ながら、電車は、再び、静岡方面に走った。ユウイチは、不安だった。不安で、こんな冒険は良いのかと思った。そして、こんな出来事は大変だと気がついた。

 ユウイチは、聴きなれない名古屋の方言を耳にしながら、いつしかカルビ弁当を平らげた。

 電車は、浜松、掛川、静岡、と通るが、浜名湖辺りで、「ウナギもおいしいのではないか」と考えながら、便意を催し、トイレへ向かった。そんなことを考えながら、ユウイチは、呑気に、家康などの武将は、東海道をどんな気持ちで行き来したかと想像をした。

 浜松・掛川・静岡では、お茶畑とかみかん畑を観ながら、富士山を観て「富士市は、製紙が、盛ん」と教科書の知識を思い出しながら三島まで来た。

 三島駅を超え、トンネルを抜けたら、神奈川県小田原市まで来た。

 さっきまで、大阪市の住吉大社にいたのが、今は、神奈川県小田原市にいる。何も思わず、電車に飛び乗っている。これは、マイペース『東京』の歌詞と同じと思った。

 「まもなく小田原」と表示されて、ユウイチは、パニックになったが、電車は、そのまま、小田原をビュンと超え、新横浜へ向かった。そして、暫くして、電車は、新横浜まで来たとき、ユウイチは、こんな大阪よりも大きな都会で、手持ち20万円のお金で、何ができるのかと思った。

 電車は、新横浜を過ぎ、品川へ向かった。横浜マリノスとか野球のベイスターズを思いふぁした。しかし、電車は、ココンココンと音を立てていた。そして、ユウイチは、川崎あたりで、大きなタワーマンションを、観て、ドキドキした。電車は、そのまま多摩川を超えて、東京まで来た。

 直に、電車は、品川に差し掛かり、そのまま赤色の京急電車が見え、更に、グリーン色の東海道線が見えてきた、電車は、都心のビルを抜けていった。そのまま品川辺りで、車窓の左側を観ていた。

 どうしようと思いながら、ユウイチは、何となく、新橋へ行こうと思った。

 のぞみ号で、終点の東京駅まで行った。

 そして、そのまま京浜東北線で、有楽町、新橋まで行った。

 新橋で、さまようながら、どこへ行けば良いのか分からず、カラオケボックスが、あった。そこで、ユウイチは、1時間、カラオケボックスで、いきものがかりの『ブルーバード』や『気まぐれロマンティック』を歌った。

 今度は。そのまま、新宿の歌舞伎町へ行こうとしたが、店員さんの顔を観たら、有村架純さんに似ていると思ったが、アヤナに似ていると思った。

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