第50話 会の趣旨が違う

 その後、【スーパースターズ】の二人がいろいろ教えてくれた。


 無印は、希望した支部に配属される。

 Rはそうもいかず、希望した支部にRが多ければ、少ない支部に移転されることもあるそうだ。ただ、その地域に出没する魔物との相性があるので、適性を見て、ということだった。

 Sに認定されたセイバーズは、本部扱いになり、Sランクじゃないと手に負えないという依頼はどこにでも派遣される。アイテムハンターは説明がなかったので不明、と言っていた。


 そして、セイバーズって魔物討伐だけじゃなくて、護衛の仕事もあるということだ……。

 特に、Rランクは対人での護衛がある。これが出来るのと出来ないのとで無印とRランクが分けられる、と言っても過言ではないほどに必須条件らしい。


「うぇえ……。魔物を倒すだけじゃダメなのかよ」

 エドウィンがぼやくと、

「護衛の方がポイントが高いし、役得もあるしな。上に行きたいなら対人戦闘スキルは必須だぜ?」

「俺らは実戦だったけど、エーギルはちゃんとしてるからどっかの授業でやんじゃねーか?」

 と口々に言われた。

 基本給の昇給はポイントで見られるから、無印で魔物討伐をずっと続けるより対人戦闘も覚えた方が絶対いい、と言われた。


 が、その後、

「「でも、アイテムハンターに護衛の仕事は来ないか」」

 って異口同音で言われたよ。それ、シモンズ教官にも言われた。


 ようやく三年生の挨拶回りも終わったようだ。

 ひと仕事終えた! って感じの三年生チームがこちらにやってきた。

「やべぇ、緊張して何話したか覚えてねぇ」

「口から内臓が飛び出るかと思った……」

 という、不穏ワードが飛び出している。


「お前、コイツらを見習えよ。もう少し緊張しろ」

 って、スターレインさんに小突かれた。

「いや……だって、どちらかというと俺は謝罪しなきゃだったから。入会試験のある再来年になったら緊張するだろうけど……」

 今はまだ関係ない。一応、心証は良くしようとは心がけたけど。

「だよな。先送りだ!」

 朗らかにエドウィンが言った。

 いや、お前はもう少しちゃんとしろって。


 学長が、今回の事件の際の協力に対する御礼と、アカデミーとして事件を止められなかった謝罪、今後も協力をお願いしますという挨拶の後、俺たちをチラリと見て、

「今回、我が校を誇るアイテムハンター候補生がキマイラを討伐、Sランクのアイテムを入手してきました。そのキマイラの肉を、感謝の意を込めてみなさまにご提供したいと思います」


 と、給仕スタッフが切り分けられた肉を山盛り持って来て、網に乗せた。

 ……めっちゃくちゃ、いい匂いがする。

 全員、肉に目がくぎ付けになった。

 飲み物も配られた。もう、無意識で受け取ったね。

 ジェイド学長がグラスをかかげる。

「では、未来のアイテムハンターの無事を祝って――乾杯!」

 ちょっと待て、救出ありがとうの会じゃなかったのか?

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