第23話 シルエとコラボ
ツアーの合間で惑星エデンのサロンにあるいつものブースでコーヒーを飲んでいる。
シンはメンバーではないんだけどなぜかいつも同じブースにいる。
ラドは赤い透明なゼリーをスプーンでつついている。
「次のライブ会場でコラボしようってオファーが来たよ。」
音楽配信グループ「アポカリプス」の作曲を担当するユキルが言う。
「今、みんなにも転送したよ。」
みんなの目の前の仮想ディスプレイに着信マークが点灯する。
メールは脳内に直接送られて網膜上に表示されているかの様に認識される。
「シルエからじゃないの。」
クミンが声をあげる。
「あの顔出ししない再生数ナンバーワンの歌い手の?」
「すごー。どうしよう。」
「シルエにエアリアとクミン、ルキルカの4人だと表現の幅が無限に広がるね。」
「それに似合う曲をどうしよう?。」
「それでね、曲作りを一緒にやらせて欲しいの。」
「私今まで自分で曲作りをしてないから。」
「うーん、ぜんぜんしてないわけじゃなくて、発表するようなのが出来てなくて。」
「え?」
いつのまにか小さな女の子がラドの隣にいた。
見た感じは普通のかわいい女の子って感じ。
顔も隠していない。
「あ、あのシルエさん?」
クミンが言うと女の子はにっこりと笑ってうなずく。
「うん、クミンさんよろしくね。」
一応ブースは個室になっているけど、本当に普段は普通にしているんだ。
シルエはなんだか自己評価が低いのかステージでも配信でも姿を見せない。
ステージでは別人が踊っているとかシルエットだけで音源使っているとか言う者もいるけど、アバターを使うのは普通だしそれがどうしたって感じ。
でもシルエはステージでは音源と少し違うアレンジで歌ったりしている。
「本人だよー。ここにいて歌っているよー。」ってファンに語りかけているんだ。
それがわからないんじゃしょうがないね。
どうせファンじゃないしただのアンチだからシルエが気にする事じゃないんだ。
「だってー。恥ずかしいし。」
シルエに恥ずかしいって言われたら他のパフォーマーはどうなのって感じだ。
見た目だけのことだけではない理由があるのかもね。
歌ったり踊ったりには別に問題ないってすでに本人が証明しちゃっているし。
ユキルはシルエのストレージからファイルを見せてもらって盛り上がっている。
「結構いけそうな素材がある。これ、面白くなるよ、きっと。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます