第3話 新たな力



「確か、俺はあの爺さんに気絶させられて…」


「やぁ」


「ッ!?」


 誰だ?さっきまで誰もいなかったはず。気づいた時には背後に立たれていた。

 俺は背後にいる者から逃げる様に跳ねた。そいつは白い髪が肩まで伸びており中性的な顔、歳も俺より若く15、16くらいの年齢の子供だ。


「お前は何者だ?」


「そんなに警戒しないでよ。今はまだ何もする気はないから」


「俺は何者かを聞いてんだ」


「せっかちだなー。…まぁいいや。僕は白雪!」


 白雪を名乗るこいつは手を広げて大袈裟な自己紹介をする。


「は?白雪?…お前!あの時の鞘か!?」


「そうだよ。そしてここは僕が作った精神世界。まぁ心の中とでも思ってくれたらいいよ」


「あぁ…そう?」


 なんかすげー胡散臭い奴だな。しかし、ここは本当に寒そうだな。辺り一面に雪やら、氷柱つららやらがある。

 俺は周りを見渡してそんなことを思う。

 

「お前が俺を呼んだのか?」


「そうだよ。君は、僕の力をまだ何もわかってないでしょ?」


「いや、まぁ入ったら鞘だけしか無かったからハズレかと思った」


「ひどいな〜。まぁいいや。ここに呼んだ時点で君は僕の力の使い方がわかる様になってるはずだから」


「あ?…いや、確かになんとなくだけどわかるな」


「それでも僕の力を使いこなすには今のままじゃ全然ダメだよ」


「なんだそれ?」


 確かに俺はまだこの力について何も分かっていない。けど新たな力だ。

 この世界も前の世界と同じ様にあの怪物どもがいるなら力がいる。


 新しい力が増えればそれだけやれる事が増える。あぁ、自然と笑みが溢れる。…やっぱり俺は冒険者だ。


「君、おかしいね。普通は自分の体に得体の知れない者がいるのに笑うなんて」


「そうか?多分それは俺が冒険者だからだな」


「ボウケンシャ?」


「そうだ。知恵と武器で怪物を殺し、命を賭けて未知を開拓する者だ」


「そうか、やっぱり君はかなりおかしなヒューマンみたいだ」



 失礼な奴だな、このチンチクリンは。俺は少し眉をひそめて白雪を見てそう思った。


「さて、今回は、ここまでのようだね」


 そう言いながら白雪は手を組んで上に伸びをする。


「どういうことだ?」


「そのままの意味さ。君はもうすぐ目が覚める」



 俺は目の前がどんどん暗くなって地面に沈んでいくような感覚に襲われる。

 おい、待て。まだ聞きたいことがあったのに聞けてない。


「また、いずれ会えるさ。僕は君の中にいるのだから」



 その言葉を最後に俺の意識は完全に途絶えた。





・・・・・・・



「今回のヒューマンはとても面白い奴だ。僕の力をどんどん使って引き出してね。そうしたら…ふふふ」



 そこには先ほどまでの軽口を叩いていた者の姿はいない。そこには無邪気と悪意が混ざりあった様な目をした子供の姿があるだけだ。



「けど…」


 白雪は違和感があった。今までのヒューマンとは何かが違う。

 それが何かは分からないけど、決して触れてはいけないナニカに触れてしまう予感がした。








 【白雪はあなたを▲▲▲▲▲▲企んでいます】






【あなたは▲▲▲▲▲のため特典が1つだけでした】



【そして・・・・■■■■は¥¥&?!/-ます。&¥@/-を止め”:-&・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】














 ブチン。









 そのアナウンスの声はユウヤにも白雪にも、誰にも聞こえないまま人知れず消えた。





————————




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