僕が神様にあげたもの
三愛紫月
嫌いなんじゃない
二十歳の時から9年間、一緒にいる
二人は、今まで、外で会っていたけれど……。
どうやら、今日。
我が家に連れてくるらしい。
「メメ、連れてきたよ」
「ニャオヅ」
《いらっしゃーーい》
と挨拶した瞬間。
僕の鼻が嗅いだ事のない臭いを捉える。
「メメ君、初めまして。
差しのべられた手を思わず引っ掻いた。
「いたっ」
「大丈夫。誠一さん」
「大丈夫、大丈夫。動物は、引っ掻くものだから」
「ニャー、ニャー、ニャー」
《病院に行け!病院に行け!病院に行け》
「何か俺。めっちゃ嫌われてない?今日は、帰るよ」
「ごめんね。駅まで送るね」
「いいよ、いいよ」
沙羅ちゃんは、誠一を送りに行って僕は一人さっきの臭いを考えていた。
「ただいまーー。メローメロディ駄目じゃない!」
沙羅ちゃんは、僕を怒る時。
いつも、フルネームで言うのだ。
ただ、普段は長いから省略してメメと呼ばれている。
「ニャーオ」
《ごめんなさい……でも》
「次からは、優しくしてあげてね」
沙羅ちゃんに頭を撫でられてから、顎を撫でられるのが大好きだ。
次からは……。
僕は、誠一に優しくは出来ないよ!
だって、どうにか病院に行ってもらわなくちゃいけないから……。
あっ、そうだ!
僕の名前の由来も話しとく。僕がやって来た日、沙羅ちゃんのお母さんが大好きな穏やかな音楽が家中に鳴り響いていた。
沙羅ちゃんは、穏やかな音楽を聞いていてメロディにしようと決めたのだ。
沙羅ちゃんは、お母さんに話したんだけど……。
前日、お酒を飲んでいたお母さんは、次の日僕をメローと呼んだ。
沙羅ちゃんは、メロディに決めていたとお母さんに怒ったのだけど。
お母さんは、メローが可愛いじゃないと言い出した。
沙羅ちゃんは、お母さんに怒った後でメローメロディにするからと言ったのだ。
それで、僕は名字までついた。
だけど、名前が長くなったせいで家族全員。
僕をメメと呼ぶようになったから、名字の意味はなくなってしまった。
まあ、そんな話しはどうでもいいね。
とりあえず、今は誠一を何とかしなきゃ!
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