第10話 生活安全部と氷の女王

夜の廃工場

呻き声を上げ倒れている男たちの全身が次第に凍っていき

その呻き声さえ聞こえなくなる。

そんな男たちを尻目にレッドワイズを象徴する赤い革のジャケットに身を包んだ氷城冷菓は

その場を立ち去る。

彼女はトレードマークのメガネを外しロングのウィッグを付け、普段の優等生の

姿とは違った雰囲気だ。

「クイーン!」と、廃工場を後にした冷菓に声をかけるレッドワイズ幹部の大柄の男ビショップ。

「やりましたね、クイーン。ブルーウルフのNo.3をひとりで倒すなんてさすがです」

「シュナイドの方はどうしたの?」

「ブルーウルフの傘下だったイエロードッグスとスカルブラックが我々の傘下に下りました」


***

ワイングラスを片手に赤いソファーに踏ん反り返るレッドワイズのキング=シュナイド・ロズベル。

彼の足元には黄色と黒のジャケットを着た2人の男が膝をつき深々と頭を下げている。


***

冷菓は驚いた表情で目を見開きビショップの方に振り返る。

「スカルブラックのヘッドって言ったらブルーウルフの幹部のひとりでもある。やったわねキングも」

「まさに我が世の春です」

「あとはブルーウルフの本丸を潰せば、レッドワイズの天下」

「キングは、圧倒的な戦力を持ってブルーウルフの本拠地を包囲。向こうのヘッドが降伏するまで長期戦をするお考えです」

「力攻めで倒すより、その戦力を持って大きな相手を降伏させた方が、キング自身の権威を高め多くの者を服従させることができる。

なるほど、いい考えね」

「林田殿の提案であります」

「なら、私も急ぐわ」

「クイーン、何をなさるおつもりなのですか?」

「時間がないの、早くしないともっと大きな力に潰されるわ」

と、冷菓は足早にビショップの前から立ち去る。


***

冷菓の回想

キサヒメ学園 理事長室

「生活安全部にグールド・グレモリー様の計画を話されたと?」

窓越しにグラウンドでスポーツに励む生徒たちを眺めているフェリス・グレモリーは

冷菓の方に振り返り、話を続ける。

「ええ、そうよ。お兄様の計画は第二段階に移行した。つまり、これからは生活安全部の力が重要になってくる」

「⁉︎ ではこれまで利用してきたカラーギャングたちはどうなりますか?」

「そうね。そろそろトカゲの尻尾切りをしなくてはなりませんわね」

「!(尻尾…………)」

「私は常に数手先まで考えていますの。レッドワイズでしたっけ?コネクトシールの流通に貢献して頂き、プロトフの実戦データまで

集めて頂いた…………ですのでそうそう無下には致しませんわ。私は彼らの組織を買収して慈善団体に変えたいと思っています。

治安を悪化さてきた彼らを環境や福祉の仕事に従事させ、今度は治安維持の活動に努めてもらう。これで我が社の評価はうなぎ登りですわ」

「お言葉ですがそう簡単に行くのでしょうか?己の武力で自分たちの優劣を競う者たちです。お金や権力で従うとは思えません」

「力を示せばいいだけですわ。アーマードギアの量産に成功した今なら可能です。手始めに明日、ある社長さんに会うの。

彼は、綜合警備保障の会社を経営していますの」

「まさか…………」

「アーマードギア部隊による蹂躙。この計画は彼に委ねるつもりよ。どうかしら?」

「…………」

「所詮、いくらケンカが強くて、アウトローの中でどんだけ威張れても、汗水働くサラリーマンには勝てないの人生は」


***

朝のオフィス街

レッドワイズの赤いジャケットを羽織り、表情を凍りつかせ歩く冷菓。

「早くしなくては、あの女の思うようにはさせない」

駅前にある、地上40階建ての超高層オフィスビル=モリタワーの前に足を止める。

『5F OSC 奥羽セキュリティセンター』と記されている入口のプレートを横目に冷菓はビルの中へと入って行く。


***

モリタワー 1Fエントランス

エントランスを足早に行き交うサラリーマンやOLたち。

その中を突っ切るように歩く冷菓の前に杖をついた恰幅のいい剃髪の老人が姿を表す。

「⁉︎ 総理…………」

老人の鋭い眼光を直視した冷菓の瞳は青く変化して、冷菓の突然の叫びとともに全身から発せられる

冷気によって一瞬でエントランスが凍りつく。

そして男は、幻だったのかのごとく姿を消えてしまう。


***

キサヒメ学園 生活安全部部室

火条ツカサ、直江尊、ラルフ、火条アルテ、ウルヴァ、月代サヨの一同に会している

「昨晩、佐古井リルアが病院から姿を消した」と、尊が表情で告げる。


***

病院の空のベッドの周りには数人の警備員の男たちが倒れている。

***


「まだ、信じられないけどこれも華僑院総理の仕業ってこと?」

と、サヨが尋ねる。

「おそらく、華僑院の手の者でしょう」

「イシュタルト…………」と、アルテはつぶやく。

アルテを見て頷く尊。

傍らにいるツカサはヴァイブの振動を感じて右足のポケットからスマホを取り出す。

スマホの着信表示に『アカネ』と表示されている。

「アカネ?」


***

電車内

通勤、通学の社会人、学生でごった返している車両内。

ドア付近に立つ、キサヒメ学園生徒会長の天影乃アカネ。

スマホを手に声を震わせながらツカサと通話をしている。

「ツカサ、ニュースは見ているか?私や他の生徒たちが乗っている電車が凍りついて

緊急停車した。はやく来てくれ。皆、凍えてしまう」


***

キサヒメ学園 生活安全部部室

慌てて部室のテレビを付けるツカサ。

そこには街中が建物ごと突然、凍りついてとのニュースが流れている。

「これは⁉︎」


***

スピードを上げ、正門から飛び出すビークルモードのライドファイヤー。

運転するファイヤーアーマーは、「待ってろよアカネ、今行くぞ!」

と、アクセルをさらに踏み込んでライドファイヤーを加速させる。


***

キサヒメ学園 地下秘密基地

シューティングアーマーに変身したラルフはフライトモードのAGX-Ⅱに乗り込み

「僕にいい考えがあります」と、管制室のウルヴァに通信を入れる。

「桐川コーポレーションが開発した放熱弾を使います」

「放熱弾?」

「はい、AGX-Ⅱには2発装備されています。放熱弾は半径5キロ圏内に高い熱を発して氷を溶かすことができます。

どうやら氷の発生源はモリタワー。そこから辺りに拡大してきているようですから、そのモリタワーに放熱弾を打ち込みます」

「分かった、頼んだぞラルフ君!」

学園の裏山にある崖が扉のように開いて中から滑走路が伸びてくるとそこからAGX-Ⅱが上空に向かって飛び出して行く。


***

ビークルモードのソードライダーに跨った尊だが、フェリスからのスマホの着信に気づき渋々出る。

「私、閉じ込められましたの。辺りは氷漬け。早く助けに来なさい」

「それが人に助けを請う奴の態度か?」

「私はモリタワーの5Fよ」と、言い残し着信が切れる。

「チッ」


***

管制室のモニターに映し出されるニュース映像。

「モリタワーを中心に発生した氷は急速に拡大して、このペースで行けば明日には

隣の島に位置する首都国ドルス島を凍らせ、3日後には世界全体が氷に覆われます」と、

ニュースの中のキャスターが繰り返し話している。

アルテは手を合わせ祈る。

「これが救世の巫女の力による終末であらんことを…………」


***

モリタワー

窓から凍りつく街並みを眺める華僑院玄徳。

「これぞまさしく終末の光景。滅ぶがいい醜き人間共よ」


***

凍りついた雑居ビルの屋上にモリタワーを見つめる、ブラックジョーカー=グールド・グレモリーと

シルバルド=林田誠一郎、そしてヴィダルファング=ガルドの姿がある。

「絶対の怪物と恐れられた男がどの様な終末を描くのか見させて頂きましょう」

と、シルバルドが話す。

遠くから飛行機の様なエンジン音が聞こえてくる。

ブラックジョーカーが見上げると上空には光る物体=AGX-Ⅱが近づいてくる。

「来たか」


***

華僑院も近づいてくる光る物体に気づき

「来たか。ウルヴァの駒たちよ」と口元をニヤリと緩める。


***

ファイヤーアーマーは氷に覆われた電車の先頭車両の前に立って、両腕の装甲を開いてタービンを

回転。炎を纏って一気に電車を炎で包む。


***

AGX-Ⅱはロボットモードに変形して構えたバスターライフルから1発の放熱弾を放つ。

放熱弾はオフィス街のメインストリートに着弾し熱を発生させ、辺りの建物の氷を溶かしはじめる。

「よしっ!次はモリタワーだ」

AGX-Ⅱは、モリタワーに標準をあわせ、バスターライフルを構える。

するとクナイのように尖った氷が飛んできてAGX-Ⅱのバスターライフルに被弾する。

「ぐあああ!」

AGX-Ⅱのバスターライフルから一気に氷が広がり右腕が凍りついてしまう。

シューティングアーマーは、モリタワーの方を確認すると、建物全体を覆う氷が変化して

ロボットの上半身へと変わる。

「ロボット⁉︎」

モリタワーを覆っていた氷は、氷の能力を吸収したプロトフ=ブリザルドであった。

氷の侵食により飛行不能になったAGX-Ⅱは、そのまま地上に落下する。


***

キサヒメ学園地下秘密基地 管制室

「ラルフ君!」、「ラルフ!」と叫ぶ、ウルヴァとアルテ。

そして「AGX-Ⅱが…………」と、モニターに映し出される、全身が凍っていくAGX-Ⅱの姿に

サヨは顔を覆う。


***

電車を覆う氷を炎で溶かすことを試みているファイヤーアーマー。

だが、氷はいっこうに溶けようしない。

「ちっとも溶けねぇなぜだ!」


***

電車内

通勤ラッシュ時に発生してごった返している車両内。

窓際の客たちは人ごみに押される形で凍てついた

車体に押し付けられ「押すな!」、「押さないでくれ!」と

悲痛な叫びと痛みに苦しむ呻き声が聞こえている。

アカネも左腕がドアに押し付けられながらも痛みに必死に耐えている。

「早く来てくれ。ツカサ」


***

モリタワー5F

「ちっとも来ないわね」と、ソファに座り救助を待つフェリスに

「⁉︎」と、突然の閃光が迫る。


***

キサヒメ学園地下秘密基地 管制室

「ウルヴァさん、放熱弾が使えないんじゃ他に手は?」

「ファイヤーアーマーの炎ですら溶けないとなると打つ手はもうない…………」

"ガガッ"と、通信が入る音共にモニターに桐川トウカの姿が映し出される。

「桐川コーポレーションの桐川だ」

「桐川博士?あなたが」

「ああ。あんたがウルヴァ氏か?」

「そうだ」

「さっそくだが我が社の放熱弾を積んだトラックがそちらに向かっている。ぜひ使って頂きたい」

「提供助かる。だがAGX-Ⅱが戦闘不能だ」

「他に機体は無いのか?」

「ライドアビオンがある。だが万が一AGX-Ⅱのようなことがあれば、ファイヤーグリフォンに合体して戦えなくなる。

あとは開発中の2機のアビリティマシンがあるが…………」

「ならばそれに」

「完成にはまだ一週間は掛かる。人手が足りん」

「それなら随行している私と我が社のエンジニアが手を貸そう」

「なんですと⁉︎」

別のモニターにシューティングアーマーの姿が映し出される。

「ウルヴァさん、桐川博士、僕にも手伝わせて下さい」

「ラルフ君無事だったのか?」

「はい、脱出してそっちに向かっています。ぜひ桐川博士のお手伝いをさせて下さい!」


***

モリタワー5F

右肩に切り傷を負い、右手首のギアコマンダーは凍りついてしまっている

状態で廊下を逃げ走るフェリス。

「何のつもり!冷菓!」と、後ろを振り返ると氷の剣を持った冷菓が迫る。

「チームのためにあなたにはここで消えてもらう。能天気お嬢様!」

冷菓の振り払った剣撃がフェリスを襲う。

だが、間に入ったソードアーマーがその一撃を食い止める。

「傲慢なお嬢様が仲間に裏切られるなんて滑稽だな」

「なんですって!」

「驚きだな、メガネっ子優等生がカラーギャングの一員だったなんてな」

「貴様、しばらく見てたな?」

「ああ、少しは痛い目見た方がいいと思ってな。このお嬢様は」

「なんて意地の悪い男ですの」

「あんた、レッドワイズに送り込まれたスパイさんって訳ではなさそうだな?」

「そうよ!私はレッドワイズのクイーン。優等生なんて仮面もうたくさんだわ」

「冷菓…………」

「私の母親は、教育熱心でね。常に周りより上であるために、友達を作らず、勉強に打ち込んで来た。

結局絵に描いたようなつまらない優等生なんて言われて、退屈な人生よ。

ある時、街でチンピラに絡まれていたところをまだ小さなチームだったレッドワイズのキングが助けてくれた」


***

ホテルの一室

ベッドの上で裸のシュナイドと冷菓。

「お嬢様学校の生徒がこんな大胆だとは思わなかった」

「あなたも私を優等生と見るの?」

「学の無い俺たちから見れば、学校行っている奴はみんな優等生だ。壊したくなる」

「だったら壊して。優等生の私の仮面を」

メガネを外す冷菓。


***

「そこで充分ケンカを教わったわ。家も飛び出したし、学校もやめてやろうなんて思ったときに丁度そこの

能天気お嬢様が現れてね。コネクトシールなんてもの提供してくれるから、ついでにうちのチームを使っての流通を進めたわけ」

「そうでした。元々冷菓の提案でしたわね」

「まぁ、あんたの護衛として雇われたからしばらく優等生の仮面かぶり続けることにしたけど」

「理事長は知ってた上で、この女を側に置いていたのか?」

「そうよ。コネクトシールに順応して意識を持ってかれることなく使いこなせたのはこの子がはじめてだった。それに面白い子だったから気に入ったのよ」

「笑わせないで、思うがままに振る舞うあなたがはじめから気に入らなかった。レッドワイズの天下がなってあなたの支援が必要なくなったときにこうするつもりだったの」

「それだったら、はじめに俺に相談してくれれば幾らでも協力してやったのにな」

「何を言ってますのあなたたち、さっきから傷つきますわ」


***

キサヒメ学園 地下秘密基地

開発中の2機のアビリティマシン完成のために作業を続ける

ラルフと桐川コーポレーションのエンジニアたちの前に、桐川コーポレーションのツナギを着た

アルテとサヨがおにぎりを配って労をねぎらう。

「お会いできて光栄です。桐川博士。協力痛み入ります」

と握手を交わすウルヴァと桐川。

「こちらこそ。このアビリティマシンを開発した人物にお会いしたかった」


***

モリタワー5F

冷菓と対峙するソードアーマーとフェリス。

冷菓の足元からジワジワと氷が広がっていく。

「キンキンにしてあげるわ。手足を氷漬けにして、一生使えなくしてあげる。自由を奪われたあなたが

苦しむ姿が楽しみだわ」

突然、窓外の閃光と共に建物が揺れる。

「なんだ⁉︎」


***

新型アビリティマシンウィングライナー=銀色の車体にウィングが付き飛行機能が備わった機体と

バスターライナー=白色の機体に2門のキャノン砲を備えた機体の2機が発生源のモリタワーと周囲のビルに

放熱弾を打ち込んでいく。


***

「気温上がった⁉︎」と、周囲の変化に気づいたファイヤーアーマーは

一気に火力をあげる。

次第に電車の氷が溶け出す。


***

電車内

ドア付近の手すりに掴まり意識が朦朧としている、アカネ。

「ツカサ…………」

アカネがうつらうつらした目を閉じようとしたとき、ドアが開き光が差す。

ファイヤーアーマーが倒れてくるアカネを抱きかかえると、意識を取り戻したアカネが

ファイヤーアーマーの顔を見上げる。

「ツカサ?」

「よく頑張ったな。アカネ」

その言葉に泣き崩れるアカネ。


***

モニター越しに2人を見ているアルテは「今日だけだからね」と、安堵する。


***


ファイヤーアーマーは、ライドファイヤーに変形合体して「救援合体!」と叫び

3機のアビリティマシンと合体してファイヤーグリフォンとなる。

「ファイヤーグリフォン!」

ファイヤーグリフォンはグリフォンソードを取り出してブリザルドに切り掛かる。


***

モリタワー5F

冷菓の隙をついてソードライダーで窓ガラスを突き破って脱出するソードアーマーとフェリス。

怒りに震える冷菓は、「キンキンにしてやる!」と氷の威力を上げる。


***

ブリザルドはグリフォンソードを受け止めると、そこから氷が侵食してファイヤーグリフォンは氷に覆われて身動きが取れなくなってしまう。


***

ソードアーマーは、フェリスを降ろすとウルヴァに連絡を取る。

「おっさん、ライナーウィングとバスターライナーがいるということはできるんだ⁉︎」

「もちろんだ」

「特急合体!」と、ソードアーマーが叫ぶと、バスターライナーの先頭部が右肩に変形し

後部の車体は右半身に変形する。ウィングライナーも先頭部が左肩に変形し後部の車体が左半身に変形する。

ソードライダーが胴体に変形して左右のアビリティマシンとドッキングして人型になる。

バイクのカウルが鞘状に変形して腰の両側にドッキングする。

そして、ウィングライナーのウイングにソードライダーのタイヤがドッキングして

人型の機体の背中にドッキングすると「ソードライナー!」と、叫び完成する。

さっそくブリザルドの氷のクナイがソードライナーを襲う。

「車輪スライサー」と、ソードライナーは、電車の車輪にトゲのように刃がついた武器を投げて応戦する。

ソードライナーは、背中のウイングのタイヤ回転させ、放熱弾の熱を利用して作った熱風を

ブリザルドにぶつける。

溶けることのなかったブリザルドのボディの氷が溶け出す。

ソードライナーは両側の腰の鞘から2本の日本刀型武器"ライナーブレード"と"ライダーブレード"を引き抜く。

「クロススラッシャー!」と叫び、ブリザルド胴体切り裂く。

ブリザルドが爆発するとみるみるうちに街中を覆っていた氷が溶けていく。


***

救急車に乗せられる、意識のない冷菓。

それを見送るフェリスと尊。

「彼女のコネクトシールには、人工救世の巫女の力が発動しないように制限を掛けていたはずなのに

何者かに外されてしまったようだわ」

「華僑院か?」

「おそらく…………」

「彼女の方はどうするつもりだ?」

「切り捨てるつもりはないわ。あの子もあの子の仲間もお兄様の改革のなった後に

レッドワイズの環境も大きく変わるわ。その中でも生き残って行くための救済策だった。

そのはずなのに理解して頂けませんでしたわ」

「奴らには奴らの矜持がある、そんなこともわからないから能天気お嬢様なんだ」

「相変わらず無礼ですわね。いいわ、生活安全部に命じます。レッドワイズを含むすべてのカラーギャングを

殲滅しなさい」

「お前!」

「逆らうことは許さないわ。私は理事長。生活安全部を潰すのはカラーギャングを潰すよりも容易いなことよ」

と、言い残しフェリスは立ち去る。

そして尊は、拳を握りしめ立ち去るフェリスの背中を睨んだまま見送る。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る