第240話:卒業式・終業式



 三月。


 それは、学期末。三学期の、終わり。


 そして、学年末。一学年の、終わり。


 もれなく。


 学期末試験であるところの、学年末試験がございまして。


 短い三学期の授業範囲に加えて、一年を振り返る、膨大な出題範囲。


 あれやこれやの様々な、出来事イベントの合間にも。


 復習、欠かすべからず、と。


 あまり遊んでいる暇も、無く。


 無難に無事に、乗り切れば。


 もう、終業式、兼、卒業式。


 東雲女子の三学期終業式は、一年の終業でもあり、三年生にとっては、卒業の、式典。


 なので、全校生徒が集合して、先ずは、卒業式。


 卒業証書の授与も、三年生徒全員に、ではなく、各クラスから代表者一名づつで、四名。


 全員への授与は、退場後、各クラスで担任の先生からだとか。


 卒業生が退場した、後。


 残った二年生、一年生で、そのまま終業式。


 一年間の、お疲れ様の労いと。


 春休みの過ごし方。


 そして、新学期、新学年の迎えるにあたり。


 など、など。


 有難迷惑な、お話を、おうかがい。


 椅子に座らせてもらってるのは、救いか。


 お話の中で、特筆すべきは。


 春休み明けの、新年度、四月から。


 トランスジェンダー女子が、数名、入学する事が告げられた事。


 すでに、専用の施設も完成し、その子たちが利用するから、と説明され。


 そっか、例のあの子たちの内、少なくとも、ふたりは合格した、ってこと、だよね。



 そんな終業式も、終えると。


 あたしたち一年、二年も講堂から、自分の教室へと、戻り。


 一年間、お世話になった教室へ。


 名残惜しいような面もありつつ。


 担任の先生や、クラスメイトとも、お別れの、儀。


 じゃーね、ばいばーい、と、クールな子や。


 二年でもまた同じクラスになれたらいーねっ、と、仲良しさんたち。


 あたしにも、そんな声をかけてくれる、クラスメイトたち。


 はじめて、このクラスに入った時の。


 疎外感や、明らかに敬遠されている雰囲気は。


 もう、どこにも、無く。


 溶け込む事が、出来ていて。


 それは、姿かたちも然り、あたし自身の心も同じで。


 女の子を、奇異の目で見る事も無くなっていて。


 ごくごく、自然に。


 ね。


 じゃあ、またね、と、教室を出て。


 なんとなく、なんとなく、二年のフロアの、空き教室へ。


 行ってみたらば。


 なんとなく、なんとなく、居るんじゃないかと思ったけど。


「やっぱり、居た」


 先輩方。


「おまーや、いらっしゃーい」


 小坂『金髪子』ミリィ先輩。


 金髪碧眼の、ちっこい先輩。


「遅かったわね」


 中原『おさげ子』ツグミ先輩。


 おさげで眼鏡の先輩。


「エリちゃん先生ももうすぐ来ると思いますわ」


 大里『ぱっつん子』サクラ先輩。


 黒髪ぱっつんロングなお嬢様『風』の、少し大柄な先輩。


 三人の先輩たち。


 小学校の頃から、ずっと女子校で、男子に全然慣れてないって。


 その小学生の頃のトラウマで、男性恐怖症に近い状態でもあるらしいけど。


 あたし……。


 男子であるところの、あたし、園田真綾まあやと、『八時間目の特別授業』を、過ごし。


 あたしの、中学時代のお友達とも遊んだりして。


 少しは男子にも、慣れたようで、何より。


 男子のあたし、って言うのも。


 妙と言えば、妙、だけど。


 名目上は共学化したとは言え、事実上の女子校に。


 女子の恰好で、一年間。


 自分でも驚く程に、馴染み過ぎて。


 これから、あと、二年。


 とか。


 しみじみ、思っていたらば。


「みんなー、明後日引っ越しだから手伝ってねー」


 沢田エリ先生。


 『八時間目の特別授業』の、担当の、先生。


 金髪子先輩とほぼ同じ背格好の、ちっちゃな、先生。


 住んでいたアパートを焼け出されて。


 今は、学校の元・宿直室に、住まう、先生。



 どうやら、焼けたアパートが、やっと再建された、模様。


 よかったね!


――――――――――――――――――――――――

<作者コメント>

コロナでちょこっとお休みしてますが、ぼちぼち、とペース戻せればと思います(しばらくは不定期更新で……)

引き続き、よろしくお願いいたします><ノ




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