第204話:ダブルブラジャー? ブラ二枚重ね?



 山田くんのお宅。


「じゃぁ、わたしはリビングでみんなと待ってるわね」


 お着換え部屋を出るレイちゃん。


 残されるのは、あたし、山田くん、ミツキさん。


 女子一名、男子一名、女装男子一名。


 ちなみに、男子女子は、彼氏彼女。


 あたしは、その彼女を『女装』させる、お手伝い。


「ナンダソレ」

「ん? どうかしたか、園田?」

「ナンデモナイヨ」


 うん。


 同じ部屋で、後ろを向いてるとは、家。


 家じゃなくて、言え。


 いや、家の中では、あるんだけどさ。


「ナニイッテンノアタシ」

「いや、大丈夫か? 園田」


「山田くんは平気なの? すぐそばで女の子が、彼女が、お着換え中だよ?」

「あー」


 むむ。


 まさか。


「まま、よくある、から、な?」


 疑問形ぎみの語尾ながら。


 まさかの、よくある発言。


 こ、こいつら、もしや、まさか。


 そこを深堀るとマズいような気もするし。


「ソッカ」


 あたしは、ちょっと、緊張。


「さてと、上は全部脱いだから着けてみるねー」


 、と、言われましても、見えてませんがっ!


 まぁ、アレ、つまり、例の上げ底の事だよね。


「それ着ける前に先にブラジャーの方着けた方がいいよ」


「ほぅほぅ、なるほどじゃあブラから……うはぁ、やっぱデカいなぁコレ」


 まぁ、F90だし。


 F90……。


 あ。


「あ」


 あぁ。


「ぶかぶかだー全然締めらんないやー」


 Fは、カップのサイズ。


 90は、アンダーバストの、サイズ。


 男の子用の、かなり大きめサイズ。


 うん。


 すらりスリムなミツキさんなら、70とか、下手したら65くらいかな?


 小さいサイズを、大きくする『エクステンダー』はあるけど。


 大きいサイズを、小さくするには?


 90→70とか。20cmのギャップはものすごく大きい、よね?


 うーむ。


「どうしよう?」

「オレに聞かれてもよぉ」


 あたしに聞かれても、って感じで。


 これは、アンダーの合ったサイズ。F70とかF65とかを手配する以外に……。


「あ」


「ん? まあやどした? なんかいい方法、あるん?」


「うーん、できるかどうかわかんないけど……」


 ミツキさんがもともと着けてたブラがあるなら。


「ちょっとイレギュラーだけど、もっかい自分のブラ、着けてみて」

「ほえ? ブラの上から、ブラ?」

「うん、多分そうするしか、無い」

「はいよー」


 ごそごそ。


「ブラ着けたよ」

「その上から次のブラみて」


「あぁ、ストラップがクロスになってるから、上から、ね了解」


 ごそごそ。


 後ろで、ミツキさんの、動く気配は、わかる。


 何を、どんな風にしているのかわかる分。


 ひぃ。


「ほい、被ったー次どうすれば?」


「えっと、上のブラのベルトを、下のブラのベルトにぐるんぐるん巻き付けて」


「あー、なるほど! そゆことかわかったやってみるー」


 ぐるんぐるんとかで、解ってくれるとわ。


 やっぱり、地頭はいいな、この


「ぐるんぐるん、ぐるんぐるんっと、こんな感じかな?」


 いや、見えんけど。


「いい感じの長さになったところで、ホック、止められる?」


「うん、止まった止まったうはぁそれでもぶっかぶか」


 そりゃそうでしょう。


 『F』だもの。


 ミツキさんの正確なサイズは『知らんけど』


 ぱっと見。


 うん。


 多くは、語るまい。



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