第158話:園田食堂看板娘の真綾ちゃんの行く末は



 学校から帰って、お昼ごはんの支度。


 先輩たちもすぐに来るだろうけど。


 ん。


 手軽にパスタでいいかな?


 とか、準備をしていたらば、ピンポーン、と。


「はぁあい」


 玄関先まで聞こえる訳も無いのに、ついつい。


 勝手に入っていいですよ、と、伝えておいたので。


 ぞろぞろ、と。


「あれ? エリ先生も?」

「あたりまえだー。先生をハブろうとか、何事っ!?」

「職員室に報告書と部屋の鍵を戻しに行ったら、先生に捕まったわ」


 なるほど。


 そんな感じで、ある意味、いつもの通り。


 いや、毎回とか、しょっちゅうって訳でもないんだけど。


 わりと、定番になりつつある。


 園田定食?


 あたしが看板娘?


 どっちかと言えば、メインシェフな気もする。


 母さんが居る休日とかは、母さんに作ってもらうけど。


 さぁさぁ。


 ささっと、パスタ作成。


 パスタの茹で具合をおさげ子先輩に見てもらいながら。


 ぱっつん男先輩と、パスタにソースを作る。


 ソースじゃないよ?


 甘いパスタ……。


 それはそれで、デザートとか、おやつ感覚?


 さておき。


「はーい、出来ましたよ」


「待ってました!」

「ハラヘッター」


 ダイニングで、金髪子先輩とエリ先生がフォークを手に。


 一応、飲み物の準備とかはしてくれてたみたいだけど。


 勝手知ったる何とやら。


 一応、薄味のコンソメスープも付けて。


 パスタはシンプルに、ナポリタン風。


 ピーマンと玉ねぎを加えて。


 ハムやらベーコンがなかったので、ひとくちソーセージを薄く輪切りにして散りばめて。


 ソーセージは切らずに数本、丸ごと少し炒めたものも後乗せ。


 うん。


 上出来。


「おいしー」

「やっぱり真綾ちゃんのごはんはおいしー」

「うんうん、おいしい」

「うまいな」


「レストランとか食堂とかできるんじゃない?」


 おさげ子先輩の、何気ないひと言。


 一瞬固まる、あたしとエリ先生。


 思わず、顔を見合わせて。


 でも、先生が。


「そ、そうだねー、大変かもだけど、そういう学校に進むのもアリ、かなぁ?」


 さりげなく、答えてくれる。


 んが、しかし。


「真綾ちゃん的には、どうなの? 料理上手だし、好きそうだし」


 金髪子先輩が、さらなる追撃。


「どうですかねぇ……好きと言うより、必要だからって言うのが大きいですしねぇ……」


 あ。


 そうだ。


 それなら。


「そういう先輩たちこそ、来年はもう三年生でしょ? 進路とか、どうされるんですか?」


 よし。


 うまく繋げた、ぞ?


「んー、一応、進学……大学かなー」

「まだどこの大学とかまでは決めてないけどね。ある程度のラインは目星付けてるよ」


 ふむふむ。


 金髪子先輩と、おさげ子先輩は、まだふわっとしてるけど、ある程度は、って感じかな?


 んが、しかし。


「うぅ……オレがふたりに合わせようと思うと……ちょい大変なんだよなぁ……オレだけ別の学校になるかも、だぜ」


 しくしく、と言った表情で。


 意外なことに。


 見かけや仕草だと、一番のお嬢様で、一番成績のよさそうな、ぱっつん男先輩が。


 三人の中では一番成績が、良くない、のかな?


 ふむふむ。


 でも。


「そんなに大きな差がある訳じゃないでしょ? 少し頑張れば大丈夫よ、多分」


 知らんけど、と、続ける、エリ先生。


 先生も先生で……担任でも無いし、まぁ、他人事と言えば、他人事、か。


 裏を返せば、先輩たちの事を信頼してる、って事かも、だけど、ね。


 とりあえず。


 校長先生の突拍子おはなしは。


 しばらく、オクチチャック、でね。


 他にもやりたい事、あるかもしれないし。


 ちょっと真面目に考えた方が、いいかなぁ……。


 母さんとも、話してみるかな。




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