まあやがまひた来年度
第153話:今日の午後から工事が入ります
「はい、皆さん、試験お疲れ様でした。明日から冬休みまでは午前授業になりますが、その前にお知らせがあります」
二学期の期末試験の、最終科目が終わった後の、
クラスの中は『試験も終わったし、早く帰って羽を伸ばしたい』ムードながら。
担任の先生がおっしゃるには。
「もう、見た人も居るかもしれないけど、校内サイトのお知らせを見てちょうだい」
はて。
学校支給のタブレットを立ち上げる。
最初に表示される、校内サイトの、お知らせ。
『校内工事のお知らせ』
最新のお知らせ記事。
さっと読んでみるのと、先生の解説が、同時。
「詳しくは読んでもらうとして、簡単に言うと、この後、午後から校舎と講堂の間の通路のあたりに工事が入るから、近くを通る時には注意してね」
なるほど。
何の工事だろう?
と、詳しく読んでみると。
『トイレと更衣室の増築』
何でまた、急に?
と、さらに詳しく。
『来期からの新入生への対応の為』
って、生徒の人数が増えるの?
はて?
「それじゃ、今日はこれで終了ね」
「きりーつ」
「礼」
「はい、散開、おつかれさま」
はずが。
「園田さんはこの後、残ってください」
なぜか、あたしだけ?
教室に残る、と言うよりは、また、どこかに拉致される模様。
担任に連れられて教室を出ると、向かっているのは、おそらく職員室。
からの、また校長室かな?
案の定。
職員室でエリ先生、教頭先生も合流して、校長室へ。
校長室で校長先生も合流、って形は。
なんかデ・ジャ・ブ。
あ。
今日は、先輩たちが、ご不在?
あたし、だけ?
校長先生が先導する形で、校長室から、応接室へ。
促されて、ソファに腰かける。
校長先生、担任、そして、エリ先生も、一緒に。
ただ、教頭先生だけは、応接室の扉を開けて、外……廊下の方へと出て行ってしまった。
はて?
「もうすぐいらっしゃると思うから、少し待って、ね」
校長先生から、直々に。
「あ、はい……」
もうすぐ。
誰が来るのやら?
言葉通り、少しの間、待機。
地味に、空気が重い。
先生たちも、校長先生にお呼び出し、とか。
気が重いに違いない。
まぁ、あたしの場合。
入学前もそうだったし。
この間の新制服の時のこともあるし。
この学校で、特殊な存在な事もあって、色々と。
そう、色々と。
何もすることが無い待ち時間。
ふ、と。
入学前にここに来た時から、入学して、これまでの事を思い出してしまう。
ぼぉっとしていたら、隣に座っているエリ先生が。
(園田さん、何か聞いてる?)
小声で話しかけて来る。
(何も聞いてないですよ。エリ先生も聞いてないんですか?)
(相変わらず、ね。もぉ、困ったモンだわ……)
あはは。
あたしも、だけど。
エリ先生も、学校側に振り回されてる感が、ありあり。
(工事の件は聞いた?)
(あ、それはさっき聞きました)
(トイレと更衣室って、まさか……)
うん、それはあたしも思った。
(この状況もだし、あたしに関係ありそうな感じですよねぇ)
(だよねぇ……なんでわたしまで……ぶつぶつ)
本当に『ぶつぶつ』って言うひと、初めて見ました聞きました。
そうこうしていると。
トントン。
応接室の扉がノックされ。
校長先生が『どうぞ』と返すと。
扉を開けて、教頭先生が、戻って来られる。
意外な人物を、連れて……。
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