夏休み・もうひとりの少女

菅原レイちゃん

第97話:金髪子先輩宅へ向かう道中




 『八時間目の授業』で、先輩女子方々の『男性に慣れない』ところを克服しようとすったもんだ。


 一時期、ウチを『女らしく』と流れたものの、そっちはほぼ達成してしまった感もあり?


 それからまた流れ流れて、ウチの中学時代の友人を巻き込んで。


 女子先輩方が、男子にと言うより男子にように、男言葉の練習を、と。


 次回、金髪子先輩宅に大集合。


 えーっと、ウチの友人男子四名に、三先輩に先生で女性四名。


 そこにウチと、川村くんの友人の女性のような男性? 男性のような女性? も加わる事となって。


 総勢、十名!?


 場所はともかくとして。


 これって、もはや、合コンじゃない?


 合コンのイメージって、居酒屋とかでお酒とか。

 大学生とか、成人向けだよね?


 高校生の合コンって、どうなのかしら?


 と、思って、ネットでちょっこり検索してみたところ。


 あぁ、カラオケかぁ……カラオケねぇ……なるほど。


 今回は目的が先にあって、場所も場所なので、違う感じにはなると思うけど。


 すでに、ここまでの流れでも男女比率の違う合コン、とも言えなくはないかも?


 それはさておき。


 まずは先輩たちのお宅の最寄り駅へ向かう。

 ウチの家、つまり東雲女子高校の最寄り駅から数駅離れたところ。


 ウチと友達は、ウチの最寄り駅から電車で移動。


 川村くんのお友達も、ってことで、先輩たちの最寄り駅に集合して、そこから徒歩で金髪子先輩宅へ向かう予定。


 朝、そんなに早朝って時間でもないので、そこそこの人波。

 でも、通勤ラッシュは少し落ち着いた感じの時間帯。


 結局、ウチの友達連中は乗車駅が同じなので、申し合わせた訳じゃないけど結果的にホームで集合になる。


 出会って早々、電車待ちのホーム上。


「園田……いや、真綾まあやちゃん、私服も可愛いね!」


 本日のウチの装いは。


 白いチョーカーネックブラウス……ノドボトケを隠す意味もあって、首回りのあるブラウスで、上から淡い緑のメッシュのカーディガン。


 下は、淡いグレーの、ひざ下キュロット。靴は普通にスニーカーだけど、淡いピンク色。


 どやぁ。


「うっすらとだけど、化粧もしてるのな」


 学校で習った下処理に、母さんに教えてもらって少しだけ。


 男子の面々は、まぁ、当たり前だけど、普通に男子の格好。


「この状態、ハタから見たら、逆ハーレムだよなぁ、やっぱり」


 そか?


「お嬢さん、お荷物、お持ちしましょうか?」


 山田くんが、ウチが背負ったデイパックに手を伸ばすけど。


「いらねー」


 拒否るん。


「えー……結構、でかくて重そうじゃん?」

「いいよ、別に、これくらい大丈夫」


 そしたら、脇から若林くんが。


「じゃあ、荷物ごとお嬢様抱っこで」


 って、なんじゃそら。


「やめい!」


 それは、さすがに、断固、拒否るん。


 森本くんが冷静に。


「お前ら、騒いでないで。電車来たぞ」


 川村くんも、苦笑しつつ、頷いてる。


 そんな感じで、まったりと、電車に乗って数駅。


 車中でも騒ぎ出そうとする山田くんと若林くんを、森本くんが牽制。


 してたら、川村くんが。


菅原すがわらさん、もう駅に着いてるって」


 あぁ、例の。


 川村くんの学校のお友達。


 男子だけど、女子。


 女子の心を持つ、男子、だっけ?


「オレ達ももうすぐ着くって返しておいた」


 その言葉の通り、目的の駅へ到着。


 電車を降り、改札を抜けて、駅前のロータリー。


「菅原さん、お待たせ」


 友人である川村くんが、そのヒトを見つけて近寄る。


「川村くん、おはよう」


 声は、確かに、男子、だね。


 ウチが言うのも変かもしれないけど。


 菅原さん、何気に、可愛い……。




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