第90話:閑話的に母と娘のプチ・ネットショッピング~ランジェリー買っちゃった



あぢぃ……」


「こら、真綾まあや。なんですその格好は。はしたない」


「えー、家ん中だし、いいじゃん、ちょっとくらい」


 お仕事お休み母さんご自宅ご在宅。


 今日は特に予定も無く。


 ウチも自宅にご在宅で、のんびり、びりびり。


 冷たいアイスでも、と、リビングに行ったら、母さんに怒られた。


「上はいいとして、下はちゃんと何か履きなさい」


「あー……」


 しまった。


 シャワー浴びて、下にショーパン履くの、忘れてたか……。


 てことで、パンイチ。


 上はちゃんとブラとキャミだけど。


 下は、ショーツいち枚。


 むぅ。


「母さんに見られても恥ずかしくないし」

「もぉ、そう言う問題じゃないの。女の子ならちゃんとしなさい」


 って、言ってから、言われてから、気付く。


 そう言えば。


 男モノの装束の時は。


 母さんとは言え、パンツを見られるのが恥ずかしくて、ちゃんと半パンとか履いてたっけ?


 パンツ見られて恥ずかしく無いって……。


 女同士だから、って、意味か!?


 ぉぅぃえぇ……。


 てか、お母さまや。


 今、なんと?


『女の子ならちゃんとしなさい』


 ぉぅぃえぇ……。


「はぁい」


「もぉ、油断してると、そのまま外に出ちゃうわよ?」


 いやいや、さすがに。


「それは、無い」


「そうとも言い切れないのよ?」


 あ。


 察し。


「経験者さまが何やら語られて、ます?」


「……うん。下着のまま宅配の受け取りとかに出たこと、ある……」


 ぉぅぃえぇ。笑い。


 若い頃に、やらかされてた、と。


 母さまや……。


 そういう意味に於いて、親。


 いや、そういう意味に於いて、おや。


 見習っておいた方が、無難だよねぇ。


 って、事で。


 部屋に戻って、ショートパンツを履いて、リビングに舞い戻り。


「これでいいでしょ?」


 くるっと、ひと回りして見てもらう。


「はいはい。外に出る時は、上もカーディガンか何か羽織った方がいいわよ。注意してね?」


「はぁい」


 母と娘の、休日の、ヒトコマ。


「あ……母さん、パソコンで何かやってた?」


 テーブルの上に母さんのノートパソコンが開かれたまま置かれていて。


 母さんは別の場所で、家事真っ最中。


「あ、うん。ちょこっとだけお仕事の残り、片付けてたの」


「休日まで……お疲れ様です」


「まー、ちょっと気になったところ、修正してただけだけど、ね」


「ふーん」


 お仕事ってのも大変なのですねぇ。


 でも、せっかくだから、携帯端末と違って大きな画面で。


「ちょっと、使っても良い?」

「ん? いいけど、イタズラはしないでね?」

「はぁい」


 てことで、ブラウザを立ち上げて。


 ブックマークから、とあるサイトを開いて。


「お。サマーセールやってる……セール中に来年の夏用のを先に買っておいた方がいいかなぁ」


「何、見てるの?」


 母さんが画面を覗き込んで来て。


「あー……やめときなさい。来年になったら、サイズが合わなくなってるかもしれないから、無駄になっちゃうかもよ?」


 あー。


「なるほど……」


 さすが、と、思いながら、セール中の商品をざっと見てみる。


「あぁ、これ、可愛いなぁ……」

「ん? どれ?」

「これ」

「確かに、可愛いわね……でも、ランジェリーにも興味持ちだした?」


「あぁ、いや、たまたまクリックしたらおススメに出て来ただけで……」


 たまたま、だよ?


「でも、下着とランジェリーって、何が違うの?」


「うーーん……説明難しいわね……ちょっと貸して」


 パソコンを奪われた。


 すさまじい勢いでキーボードをタイプする、母さん。


 すげぇ……。


「はい、これ。こんな感じ」


 戻されたパソコンの画面。別のタブに開かれた、検索結果。


 検索キーワードは。


『下着とランジェリーの違い』


 ふむ、ふむ。


 なるほど?


 そして、キャミソールもランジェリーだと知った今日。


 て、言うか。


 奥深いです、女子の装いっ!



 あ。


 おねだりして、キャミソールとタップパンツの上下セットとか、諸々、買ってもらっちゃいました!




 やったね。





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