第84話:金髪子先輩の男装チャレンジ
さて、さて、先輩方の『男装』用の服を買いに訪れました駅前ビル。
駅のコンコースからも直通で入れるビルに、様々なテナント。
一階で最初に訪れたお店は、紳士向けの高級スーツが主で、お値段も、かなりだったので。
「ここは、まだリーズナブルですね」
二階にあったお店は、カジュアルでかつ、お値段も先程のお店よりは、はるかにお安い感じ。
「でも、上下にアウター付けると結構な値段になるわね」
確かに、マネキンが着ている一式を足し算すると、いいお値段。
「もっと安いところ無いか、探しましょう」
って感じで、フロアを、登る、登る。
登って、結局、最上階まで。
「うーん、安いとこ無いねー」
「安い洋服って言ったら、やっぱり、『とりむら』か『ユニシロ』だよねぇ」
休憩できるソファがあったので、そこに座って、自販機で飲み物など買って喉を潤しつつ、作戦会議。
何気なく、ふと、窓の外を見ると。
「あれ? あそこ、見て『とりむら』あるよ」
駅ビルから少し離れた場所に、ありました。
「最初から検索して行けばよかったですね……」
誰ともなく。
「じゃあ、これ飲んだら『とりむら』に行きましょう」
一服後に、また、ぞろぞろ、と、移動。
駅ビルから出て、しばし徒歩。
到着しました、『とりむら』さん。
「やっぱ安いっ!」
「でも、メンズは種類が少ないみたいですわね……」
「とりあえず、あるものでコーデしてみましょうか」
わちゃわちゃと、メンズコーナーで、物色する先輩方。
でも。
「先生は見ないんですか?」
「うん。お店探しながら考えてたんだけど、わたしはいいかなぁ、って」
「日和ましたね?」
「シンプルな話」
先生は、少し真面目な顔になって。
「お金、無い……」
ぉぅ。
「切実、ですね」
「切実、なのよぉおおお」
うなだれる、丸まった背中に、哀愁。
お疲れ様、です。
「じゃあ、これ、試着してみよー」
「はいはい、順番ね」
「ミリィからどうぞ」
「はぁい」
お。
まぁ、選択肢が少なかったこともあって、コーディネートの選別が完了したらしく。
「覗くんじゃねーぞ」
金髪子先輩が、選んだ服を片手に、試着室へ入りつつ。
すでに、『男子風』の口調で。
カーテンを閉じて、お着換え中……の、模様。
そして、カーテンが開かれて。
「じゃーん」
姿を現す、金髪子先輩。
「……」
「……」
「サイズが全然合ってない、ですわね……」
そう。
ぶっかぶか。
「これでも一番小さいサイズなんだけどなぁ」
袖も裾も、大余り。
ある意味、萌え袖。
裾は、折り返し。
まぁ、これはこれで、アリっちゃあり?
「いずれにせよ、男装って言うよりは」
「ただのボーイッシュなちっちゃい娘」
「ちっちゃい言うなやーっ!」
ぷんすか、お怒り金髪子先輩。
めっちゃ、可愛いっす。
うん。
これは、アレだ。
男女逆だけど、ウチが女装始めた頃と、同じだわね。
って、コトは。
これ、本気でやったら、えらい時間かかるんじゃ?
うぇえぃ。
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