夏休み・中学時代の男友達

第71話:先生と撮影会



 合宿を終えて、帰宅したら。


 夏休みは。


「ぼぉー……」


 宿題は、まぁ、毎日、午前中にコツコツ進めるとして。


 こういう時、無趣味は間が持たない。


 中学の時は、仲のよい友人と連れ立ってあちこち行ってたけどねぇ。


 釣りとか、カブトムシやらクワガタ採集とか。


 女子高(元)に入っちゃって、そんな連中ともちょっと疎遠。


 いまさら連絡してまで付き合わせるのもなぁ、と、言うか、向こうからも来ないし。


 ウチが女子高(元)に入学したのはみんなにも知られてる。


 もちろん、みんな『ハーレム?』とか聞いて来る。


 まぁ、ハーレムと言えばハーレムなのかもしれないけど、なんか違う。


 どっちかと言ったら、『おもちゃ』にされてる感の方が強いし。



 そう、みんな、ウチの『女子用制服姿』にも興味津々で、嫌々ながらグルチャに写真を貼らされた、あげく。


 大爆笑からの、ドン引き。


 ちょっと凹んだ。


 あー、でも。


 入学して間もない頃の写真だったし。


 そうだ。


 合宿で撮った水着も含めて、『現在いま』の、写真、貼ってやろうかな。


 合宿の写真は、みんなが撮ったものや、シズさんが撮ってくれたものをグルチャに貼ってあったりする。


 もちろんと言うか、当然のごとく、ウチの水着姿の写真も、ばっちり。


 ウチ単独だと、ちょっと違和感あるけど、先生先輩方も入った集合写真なら、目立たないだろう。


 先生先輩の顔はモザイク処理しておくとして。



 よぉし、あとは、制服姿だね。



 顔を洗って、念入りに髭を剃ってから、軽くファンデーションで肌色を整えて。


 制服に着替えて、ウィッグにエクステも付けて、髪も整えて。


 姿見を使って、自撮り。


 んが、しかし。


 これだと、あんまりキレイに撮れないなぁ。


 手に持ったスマホが、ちょっと邪魔っけ。


「んー、なんかいい方法は……」


 誰かに頼めないかなぁ。


 母さんは仕事で居ないし。


 先輩方を呼びつける訳にもいかず。


 ましてや、先生を……。


「あ!」


 そう言えば。


 夏休みでも、先生は学校に『出勤』してるんじゃ?


 エリ先生にメッセージを送ってみる。


『先生、今、学校?』


 仕事中なら、返答も時間がかかるかと思いきや、即座に。


『うん一応仕事中しんどいよー』


 居た。


『ちょっと頼みがあるんすけど、今から行ってよい?』


 ちょうど、制服も着たし、丁度いいや。


 ウィッグが少し暑いけど、ダッシュで行けばなんとかっ。


『頼みって何よ あ そうだ逆にわたしが行こうか?』

『いいんっすか?』

『ちょっと息抜きしたーい』

『助かりますお待ちしてますよろしく』

『はぁい、すぐ行くねー』


 ほんとに、すぐ。


「こんにちは~」

「先生すんません、わざわざ」

「いやー、職員室のクーラー、節電とかって、温度高くて暑くてさー」


 あー……。


「ちょっと涼ませてー」


 なるほど。


 一応、お客様? リビングのソファに座ってもらって、冷たい麦茶もご提供。


 ひと息ついたエリ先生。


「で、頼みって?」

「あぁ、それがですね……」


 少々、恥ずかしい感もあるけど、お願いしてみる。


「いいよいいよ、それくらい」


 てことで、せっかくなので、正門前で、校舎を背景に。


「はーい、撮るよー」


 それっぽくポージング。


 と、言っても、大げさなものではなく。


 女の子らしく、清楚に、でも元気な感じで。


 後ろ手を組んで、少し斜めに、身体の凹凸が少し目立つように。


「もう一、二枚、いいですか?」

「はいはい」


 今度は手を前に組んで、少し上体を屈めて上目遣いに。


「おっ、いいね、いいねー」


 先生も、ノリノリで。


「次は、門柱に片手を着けてみようかー」


 先生の指示の通り。


「今度は、門柱にもたれかかってー」


 ぱぱっと、それっぽいポーズで。


「いいよ、いいよー」


 みたく。


「ありがとうございました」


 さすがに、真夏のこの天気で屋外は、活動限界?


「いやいや、いい休憩になったわ」


 家のリビングに戻って、麦茶で。


「さぁって、と。戻るとしますか……」


 まぁ、仕事中に抜け出して来てる訳だし。


 学校へ戻り際、先生が。


「そうそう、明日から研修でしばらく学校に居ないからね」

「え、そうなんですか?」

「うん。研修合宿……」

「うわぁ……お疲れ様、です」

「うん」


 ちょっと凹み気味の、先生。


 ホント、お疲れ様です……。




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