第31話:女子的な喋り方について



 ロリ先生、それに三先輩から。


 女子的な一人称、そして、女子的な喋り方について。


 指導レクチャーを受けて。


 いや、まぁ、そんな指導を受けなくとも。


 女子がどういう喋り方をするのかって言うのは、知識として、あるには、ある。


 でも、その指導の中で。


『声に出して喋る時だけじゃなくて、頭の中で考える時も、よ?』


 って。


 なるほど、とは、思うんだけど。


 それこそ、慣れねぇ、よなぁ。


 ちょっと、やってみるか?


「ん、ほんっ」


 そうよね、こればっかりは。


 結構、難しい問題、よねぇ。


 だって、ウチの本質はオトコだ……もの。


 そうそう簡単に、慣れる訳、ない……わよ。


 んー。


 どうしたもん……もの、かしら、ね……。


「うわぁあああああああ」


 鳥肌っ。


 頭の中で考えただけで、鳥肌もの。


 ぎゃぁあああああ。


「どうしたの、真綾まーや、大きな声出して、何事!?」


 やべ。


「あ、母ちゃん、ごめん、ちょっと……」


「ちょっと? 何? どうしたの? 何か悩みでもあるの?」


 悩みしか、ねぇえええええ。


 じゃなくて。


 悩みしか、無いのよぉおおおおっ。


 はぁ、はぁ。


「いや、実は……」


 とりあえず。


 母ちゃんに状況を説明。


「そうなのね……ここまで来たら、お母さんとしても真綾にもっと女の子らしくなって女子トーク? とか、してみたい気もするけど……」


 今でもかなり譲歩しまくってますけどね。


 制服や下着は、校則だからって縛りはあるけど。


 ブラの中身やウィッグは、完全にオプション。


 ただ、見た目が女子っぽくなったコトで、奇異感は薄れているのは、確か。


 クラスで浮いているのに変わりは無いが。


 浮き具合で言うと、かなり緩和されてきてる。


 そういう意味では、お陰様で、とも言えなくはないけど。


 クラスの中ではほとんど喋らないコトもあって、そこのところの違和感は見えてない、と言うか、聞こえてないおかげもあるし。


 でも。


 このままで? との思いも、無くは、無い。


「んー、確かに困ったわね……どうすればいいのか……あ」


 ん? 母ちゃんが何かを思いついた?


「そうだわ、こういう場合、その筋の先人に教えを乞うのはどうかしら?」


 センジン?


「あぁ、先人?」


「そうそう、先輩」


「いや、先輩、三人とも女子だぞ?」


「その先輩じゃなくて、居るじゃない、女装の先輩」


「あ」


 例の、女装ショップの店員さん。


 彼女……いや、彼ならば。


 そう言えば、あの店員さんの口調って……。


「お仕事だからか丁寧な喋り方だったけど、話し方は女性じゃなくて、男性風だったわよね」


「そういえば、一人称も『ボク』だったかな? 息子さんも含めて」


「でしょ? 何か参考になるアドバイスがもらえるかもよ? 明日、お母さんが電話でアポイント取ってあげるから、週末の土曜日か日曜日に、行ってらっしゃいな」


 ほぇえ。



 そんな感じで。


 例の女装専門ショップへ。



 再び。






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