第3話 2年目の連休

 ゴールデンウィークを迎えた。

 4月は純華すみかとの出会いが、ちょっとだけドキドキするような日々となった。

 隣同士の席だから、自然と同じグループになる為、気付かれないように、大人しくしていた。

 向き合うから目を合わせないように俯く。

 すると、ちょんちょんと頭を突かれ、顔を上げると、ニコッと笑う彼女がいた。


「聞いてる?」

「聞いてるよ」

「じゃあ、意見ちょうだい」

「うーん…」


 調子が狂うな。

 そう思っていると「イチャつくなって」と、ひょうきんな性格のはやしが肘で俺を突く。

 地味に痛い。


「そんなんじゃないって」

「いやいや、すみちゃん達、勘違いされかねないからね」


 学級委員長の山野やまのさんがニヤけながら忠告する。

 第三者から見ればほっこり展開なのだろう。

 俺からしたら緊張し過ぎてひっくり返るレベルなのだ。

 からかわれると、余計にうわってなる。

 はぁ…と溜め息を吐いていた。


 そして今。

 家の中でのんびりしている。

 昨日の、というか1ヶ月分の疲れを取るようにゴロゴロ。

 誰からも連絡が来ないから平和だ。

 うとうとしてきた、寝ようかな。

 そう思っていると、ピロリ、とスマホが鳴った。


「誰」


 俺の連絡先を知っているのは、両親と兄ちゃんと姉ちゃんと妹と、他のクラスにいる勉強友達の新見にいみと、SNSで知り合い趣味友達のマサくんだけだ。

 恐る恐る見てみると、意外な人からだった。


『やほー!新見くんから聞いちゃった♪』


 純華からだった。

 数秒フリーズした後。


「何故えええええー!?」


 スマホをベッドに投げ、思い切り叫んだ。


「うるさーい!!」


 隣の部屋にいた妹が、俺の部屋のドアを乱暴に開けて怒鳴りに来た。

 ごめんなさい、と言って土下座したのであった。


 その後、落ち着いてから『分かった。よろしく』と返すと『明日会おうよ』と誘われた。

 考えたあげく、数時間後に結論を出した。


『分かった。どこ行くかは任せるよ』


 デート…いやいや、遊びに行くんだ。

 自惚れるなと言い聞かせた。


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