「忘れるなかれ…」

中学の夏休みである

灼熱の炎天下での部活がおわり

なかば脱水状態で

喉はカラカラ

家に入るなり冷蔵庫を開け

キンキンに冷えた麦茶を取り出す

コップに注ぎ一気に流し込む

つぎの瞬間

わたしは吐き出し

呼吸困難に陥った

麦茶だと思い飲んだそれは

素麺のつゆだったのである

このときわたしは

日中の誰もいない家で一人

死にかけたのである


なにを申し上げたいのかといいますと

なぜ、常日頃から麦茶専用に

使用している容器に

なぜ麦茶とまったく同じ色合いの

よりにもよって素麺のつゆを入れるのか

その浅はかな行為によって

どのような事態を招き

その被害にあった人間が

どのような状態におちいるのか

そこまで考えが及ばないのか

最初から考えるつもりがないのかは

わからないが

一言で言わせてもらえば

想像力が足りないのである

こういった人種が

歳を重ねるとともに

注意力も散漫になり

想像力の欠如もあいまって

取り返しのつかない

とんでもない事態を引き起こすのである


おこころあたりのある方は

ゆめゆめ

忘れるなかれ……

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