オーガと言う人間
俺の名前は
この異世界に転生してからはオーガと名乗っている。
俺の人生は筋肉と共にあった。
いや、筋肉を崇拝していたと言っても過言ではない。
モテないし、クラスカースト最下位だった中学時代。
このままでは駄目だと思い、筋トレを始めてから俺の人生の全てが変わった。
『運んでくれてありがと~。ねぇ吹部の楽器運びは大変だから助かるよ』
自分に出来る事が増えた。
人から感謝される事も増えた。
自信がついた。
『なぁ、俺今ダイエットしてるんだけどさ』
人から話しかけられる事が多くなった。
誰かに頼られる事が多くなった。
友達が出来た。
『な、何だこいつ?!かないっこねぇ!!逃げるぞ!!』
他人から下に見られる事が無くなった。
怖い事も少なくなった。
ストレスが溜まらなくなった。
筋肉をつけるというのはこんなに素晴らしい事なのか!!
筋トレをしただけで、俺の悩みは全て無くなった!!
筋肉が俺を救ってくれた!!
その実感を得た大学生の頃だろうか?
俺が筋肉を崇拝し始めたのは。
だからこそ、不幸な事故で異世界に転生する事になった時も不安はなかった。
俺の鍛えた体をそのまま異世界に転送してくれるというのだから怖い物などある訳もない。
何か一つランダムでスキルを付けるとか、無限の魔力を付与するだとか、そんな物には微塵も興味を引かれなかった。
神様に渡されたから貰っておこう。
そのぐらいの認識で『チート能力』と呼称されるその力を受け取った。
神様が色々な準備を終え、さて異世界へ転移しようと言ったその瞬間の事。
心がザワリと嫌な何かを感じ取った。
見知らぬ誰かに、罵詈雑言を浴びせられ続けている様な奇妙な感覚。
この時俺は気づくべきだったんだ。
筋肉なんぞ鍛えた所で抗えない恐怖が存在するということを。
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