背中の痣は生まれつきだったはず

星宮和

問問答ではなかった

ミンミンゼミの大合唱の聞こえる大きなお寺の本堂で

「なむさん」

「せっぱ」

禅問答をしているかのような真剣なやりとりがおこなわれている。


違う、相手は坊主ではない。

自分も坊主ではない。

お互い譲れないものがあり交渉は決裂し、帰り道で後ろから刀で左胸を刺されて死んだ。


偶に胸が痛くなることがあるけれど、

そんなの、この刺されて死ぬことに比べたら全然だなと馬鹿なことを考えていた。


これで戦の幕が開いてしまうだろうが、とめられなくすべもない。

無念であると思いながら、息を引き取った。


大地の底から沸き上がるエネルギーが遠くであった。

向かおうと、見つけて喜び走り出そうとしていた。


惹かれたものが熱を失うと共に、動きを止め急速に眠りについた。









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