09 バックパッカーの若者たち

 クアナモンテ駅から、再びアルヘンティオ・エクスプレスに乗車し、終点のサンタレジーナまで向かいます。


 列車はゆっくりとクアナモンテを発ち、最初の数十キロでは壮大な山々に囲まれた山岳地帯を進んでいきます。車窓から広がる風景は、迫力ある岩肌や深い渓谷が織り成す美しいパノラマです。


 雄大な山々が雲に包まれ、その頂上からは風が吹き抜け、時折霧が立ち上ります。岩の隙間には野生の花々が咲き誇り、鮮やかな色彩が岩肌を彩ります。車窓から見える山の複雑な輪郭は、自然の造形美を感じさせ、旅人たちに感動を与えることでしょう。


 列車は曲線を描きながら山を抜け、深い渓谷に沿って進みます。遠くには谷底の川がきらめき、その音が静寂な山々に響き渡ります。山岳地帯を進む旅は、壮大な自然の美に圧倒され、旅人たちに冒険の興奮をもたらすことでしょう。



 エコノミークラスの車内で、バックパッカーの若者たちに出会いました。彼らはフリーパスを使用し、マレンティアーノの各地を自由に巡っているそうです。


 今までで一番思い出に残った事は?と聞くと、首都ルンボリアで一晩中飲み明かした夜と答えました。自分たちだけでなく、地元の若者たちと共に一緒に酒を飲み、友情を深めた時間が最も思い出に残ったとのことです。


 なるほど、何も歴史的な遺産だけでなく、そういった現地の人とのコミュニケーションも一生の思い出になりますね。


 それ以外にも色々な場所で、「たくさんの友人ができたんだ」と言い、写真を見せてくれました。うーん、こういう旅も良いものです。むしろ、これこそが彼らにとって旅なのかもしれません。


 そのうちに、列車は山岳地帯を超え、再び高原の田園地帯を快走するようになりました。終点のサンタレジーナはもうすぐです。彼らも、乗客たちにも新しい出会いが訪れようとしています。

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異世界の車窓から やた @yatax25

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