異世界の車窓から

やた

序章 朝の始発駅

 朝の始発駅の雰囲気が好きだ。今から、どこにでも行ける、何にでもなれるというあの雰囲気がたまらなく好きなのだ。


 そんな駅に立って人々を眺めるのも好きだ。


 忙しなく行く通勤のサラリーマンは、どんな仕事をしているのだろう。青春ど真ん中の学生たちは、何を見て、何を感じているのだろう。これから旅に出るであろうあの大荷物の人は、これからどこに行き、誰と出会うのだろう。


 逆に、眠そうにまぶたをこすったあの人は帰ってきたのだろうか。どこに行って何を見たのか、疲れたなかにも満足げな表情が、旅の楽しさを物語っていた。


 駅には他にも多くの人がいる。駅員や清掃員、売店のスタッフなどあらゆる人たちが働いている。


 旅行者だけでなく、従業員を含めて、駅では色々な人生の1ページが描かれているのだ。


 もちろん、自分自身も。


 さあ、新鮮な朝の空気は満喫できた。そろそろ旅を始めよう。

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