7-3

 6時過ぎに起きて、顔を洗って、身づくろいをして、と 言っても 髪の毛をとかしてスキンクリームと少し色のついたリップクリームを塗るだけなのだ。彼が眼を覚ます前に着替えてから、おはようのキスをして彼を起こして


「おはよう そろそろ起きてよー お日様 出ちゃうよー」そして、二人とも自転車で向かうのだ。


「マオ そんなで 寒くないか?」


「ウン 平気」と、私は、グレーのサイドプリーツのミニにニーハイソックスでハーフブーツだった。だけど、今日は彼には言わなかったのだけでインパンじゃぁ無いのだ。


 下に自転車を置いて、100段近くの階段を登ったところに神社はある。案外、多くの人が初詣に来ていて、私達がお詣りを済ませて、階段の上にまで来た時に、日の出の光が刺してきていたが、その場所は奥まっていて、樹とかビルが邪魔していてお日様は見えなかったのだ。あんまり、初日の出を拝むには、良くないのだが、もっと奥の方に行くと公園内にタワーがあって、そこからなら良く見渡せるのだろうけど、元旦は申し込み抽選とかで、当然私達はそんなことをしていなかった。


 私達はそのまま帰って来て、お雑煮と厚焼き玉子、漬けおきのお肉を焼いて、元旦のお祝いをした。伊織利さんは缶ビールを開けていた。


「イオって お酒飲むんだ」


「ああ いつもは 飲む時間も無いからな」


「そう イオって お誕生日 いつ?」


「おい! まだ 二十歳になってないって思ってるのかー 9月7日 もう21だよ」


「そーなんか もう、大人なんだ」


「だよ もう21になるんだ マオは誕生日は?」


「3月3日」


「なんだよー ひな祭りじゃんか じゃぁ まだ 18か? へっ」


「なによー それっ ばかにしたようなー」


「そーいうんじゃないけどー でも もう 成人だもなぁー」


「なんだよー いきなり 成人になっちゃったー 今年 成人式かも どうでも いいけどね 行く気も無いから」


 二人で居るからと言って、何にもすることが無くて、ただ寄り添って音楽を聴いているだけだった。昼過ぎまでダラダラして、お腹がすいたからって、電熱器でお餅を焼いて、砂糖醤油につけて食べて、また、寄り添っているだけだった。私は、ミニスカートのまんまだったので、時々、彼は私の膝を撫でるようにしてくる。


「なぁ そんな おっさんみたいに・・・いゃーらしい感じがする」


「だってよー 見てると可愛いし・・・暇だし 嫌? か?」


「そんなんちゃうけどなー 変な感じ なぁ そんなことしててムラムラしてきぃーひんのぉー?」


「まぁ こーやって 我慢している」


 晩ご飯はオムライスとサラダを作ったのだけど、伊織利さんはケチャップをあんまり好きじゃぁ無いみたい。「あっ ブロッコリー サラダに入れちゃったー」と、独り言を言っていた。あのマネージャーに忠告されていたのを忘れていた。だから、食べている時に、伊織利さんのを「横取り」と言ってブロッコリーを突き刺していると


「知っているのか?」


「ウン 小野寺瞳さんが教えてくれたの」


「ふ~ん あいつとそんな話したんだ・・・」


「ウン イオに一番近いガールフレンドなんだって! 時々 ご飯作りに来てたらしいやんかー でも 一度もなびかんかったってー 明るい人よねー」


「・・・まあな 気持ちのいい奴だ」


「なびかなかったの?」


「あぁ 真織が居たからな」


「ねぇ マオが宇都宮に来てなかったら どうしてたの? マオだって 他の男の子と・・・なってたらー」


「それは・・・何となく なんとかなるかなぁーって」


「ええ加減なー マオは 必死やったのにー」


「まぁ まぁ ごめん その分 大切に愛して行くからー」 


 私は、そんなに愛されていたのに、あの時 ひどいことを言ってしまってーと、こころの中で謝っていたのだ。伊織利さんからお風呂に誘われて、もう、素直に一緒に入っていった。そして、湯舟の中でも抵抗も無く彼のものを脚の間から・・・私は、優しく撫でるようにして、軽く握ったりもしていたのだ。ふと 香波ちゃんが言っていたように お口で含んだりしたら、伊織利さんも喜ぶんだろうか 私に出来るだろうか ソフトクリームみたいなもんよ 愛おしい人のものだものー それとも 退かれてしまうかなー とか 普通 女の子って こういう時って 躊躇しないのだろうかとか 妄想してしまっていた。


 だけど、その日は、短パンも履かないで、少し女の子っぽいショーツのままでベッドに入った。彼は、私のお尻を撫でていたけど、キスをして胸に手をあててくるだけで、それ以上のことは無かったのだ。それでも、彼のバイトは夕方からなので、私達は次の日の昼過ぎまでベッドでそれなりにイチャイチャして過ごしていた。私にとっては それだけで幸せな時間なのだ。


「なぁ やっぱり マオはイオの祖先のことを確かめたい それに、マオのおばぁちゃんの祖先も・・・夜叉が池にも行ってみたい」


「そうかー じゃぁ 春休みにでもな 山の雪も融けているだろうからー」


「うん それで 納得できたら マオは イオと・・・こだわりも無く 結ばれると思う・・・」


 その後は、私はイオに抱き締められて、また 糸姫様が優しく微笑んでくれている夢を見ていたみたい・・。


 

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