6-2

 水曜日、私はドキドキわくわくして食堂に向かうと、深川翠さんはメニューを見ていて


「すみません お待たせしてしまってー」


「ううん 今来たとこ 私 あんまりここに来ないから、なににしょうかと選んでいたの」黒のスリムパンツにヒールが高めのパンプスで、振り返った顔に留めていない髪の毛が揺れて、女の私でも、その魅力にドキっとしてしまった。


 私も、あんまり来ないのだけど、C定食 ミニの卵丼とみそ汁、サラダを選ぶと、先輩はハムサラダにレモンソーダを選んでいた。私達が席に着くと、みんなに注目されて視線が集まっているのがわかった。

 

「あのう お昼はそれだけなんですか?」


「そーいうわけじゃぁないけどー 私 あんまり 炭水化物は好きじゃぁないみたいよ」


「へぇー それは 美容の為なんですか?」


「そんなことないけどね なんとなく」


「でも この前 たこ焼きを・・・」


「あれは 匂いに釣られてしまったの あなたも居たしね」


「あっ あー ありがとうございます」


「ううん 美味しかったわよ 食べやすかったし 前は 串じゃぁなかったわよね?」


「みたいですね 今年から・・・変えたんです そーしたら 好評で」


「そう あなたの 提案かしら?」


「そーゆうわけじゃぁー みんなの・・・食べる気の人は6コじゃぁ 物足りないかも知れないけど 3コだと つい 買いやすいかなって・・・」


「そうねぇ 私も ついネ つられてしまったわ! ねぇ 私 あなたのお名前 詳しく知らないの 教えて下さる?」


「はっ 奥浦真織 生物資源科学科1年です」


「私のことはご存じでしょ 深川翠です あなたのことは 聞いたわ 男の子に人気があって みんなが狙っていたのに 直ぐに 誰か男の子と二人で仲良く庭園でお弁当食べていたって」


「ええ まぁー 私 好きな人が居て 高校の時から だから、一緒の大学にって・・追いかけてきたんです 私 あの人の傍に居なきゃーって 思い込んでいて・・・」


「まぁ 情熱的なのね その人とお弁当なの? うらやましいわぁー」


「先輩は お付き合いしてる人っているんですか?」


「私? 居ないわよ 私って こんなでしょ だから 真剣にお付き合いしてくれる人なんて現れないのよ 相手にしてもらえなくってー」


「うそぉー そんなこと、無いでしょぉー? 皆がミス宇大とかマドンナだって・・・」


「まわりが そー言ってるだけでねー 高校の時からそう 雰囲気で敬遠されちゃうの 結局 持てないのよー それに、高校も女子高だったから 男の人とは縁が無いの だけど、彼氏が居ても あなたが周りの男の子に人気あるのって 不思議でね 私も勉強させてもらうわ」


「そんなー 私 なんて ガサツでヘラヘラしてるだけですからー」


「ふふっ 明るくて可愛くて、美人なのに気取ったとこ無いからねー みんなのアイドルだって 彼氏も気が気じゃぁ無いでしょ? 普通、独占したいのにー 女の私にだって 可愛い娘って思ってるのよー」


「彼は そんなこと無いですよー でも 優しいからー・・・口数 少なくて言葉足りないですけど・・・出会った時も 昔から結ばれている気がしたから・・」


「・・・そう 結ばれていたの?・・・ お互い 信頼してるのね いいわねー」と、彼女はガラス越しの庭園を眺めていた。この人が持てないわけがないのだ。きっと、以前に何かがあってー・・・そのことに想いを巡らせているんだろうか。


「あのね 今度 ウチに遊びに来てみない?」


「はっ いいんですか?」


「良いわよーぅ あなたと もっと 仲良くなってみたいわ! なんかー まるっきりの他人って気がしないのよー それに・・・もっと 気になることもあるのよ 弟が居るんだけど・・・会って 欲しい・・・」と、言う先輩の眼の奥が輝いてきているような気がしたのだ。どうして、私なんかにそんなに興味があるのかしら・・・弟って何なのよー・・・。


 翠先輩と別れた後、真菜が見ていたのか 早速、寄ってきて


「マオ 何だったの? あの人と知り合い? みんな 見ていたわよー」


「う~ン 知り合いになったみたい 魅力的な人だけじゃぁなくって・・・ 引き寄せられるみたいに・・・何かに・・・」

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