私は独りじゃない
私は、3年生になって相談室通いを辞め普通登校に戻った。相談員の先生にはその後も良くして貰い、今でも心から感謝している。
そして、修学旅行の少し前に嫌な事があった。前後の会話は覚えてないし、母も言った記憶がないらしいんだけど。
「あんたなんて、産まなければ良かった」
桜の花が散るのを窓越しに見ながら、2人きりの車内で母に泣きながら言われた。誰よりも私の味方で、何があっても護ってくれていた母の言葉だったからこそ。
他の誰に言われるよりも、辛かった。
その時、私は再び死にたいと思ったんだ。だけど、ただ死んだんじゃいじめっ子は私の事なんか直ぐに忘れるだろう。
でも、そんなの許せる訳ない。私の心を……人生をめちゃくちゃにしといて、忘れて幸せになるなんて許せない。
だから、修学旅行の最終日に駅のホームから飛び降りようと思ったんだ。最期に楽しい思い出を作って、いじめっ子たちには最悪の思い出を作ってやろう。
本気でそう思ってたし、実行するつもりだった。でも、修学旅行最終日。
電車が来るのに合わせて白線の外側へと一歩踏みだろうとしたその時。私は、誰かに呼ばれた様な気がして振り返ったんだ。
沢山の人行き交うホームの中、一瞬だけ誰かと目が合った気がした。そして、次に気が付いた時には地元の駅でクラスの違う唯一の真友が私の横に来て
「え、惠……何で泣いてるの ? 」
驚いた様子でそう聞かれたんだ。泣いていた理由は自分でも解らなかったけど、あの神様が自殺を止めてくれた気がした。
それから、日常に戻り母とも仲良く過ごしていたある日。何が原因だったかは、もう覚えていないけど放課後の教室で私は男子生徒から教卓の真ん前で酷い事を言われてた。
言われた内容は思い出せないが、他のクラスメイトも一緒になって皆で私を取り囲み騒いでいて男子生徒に軽く小突かれた時だ。自分の中で何かが弾ける感覚がして、気付いたら私は自分の後に立っていた。
「てめぇ、不山けんなよ ? 【俺】が、てめぇに何した ?
なんでこんなに大勢の前で、そんな事言われなきゃなんねぇんだ ?
調子に乗るなだ ? 乗ってんのは、てめぇらだろうが ! ? 」
いじめられる様になってから、自分の体験や視えるモノを周りに否定される事が増えてしまい私は何時しか惠斗の事を無意識に拒絶してしまってたらしい。自分の作り出した妄想の産物、イマジナリーフレンドだと思い込む事で私は惠斗の存在を否定していたんだ。
それでも、惠斗は幼稚園の時の様に何度も私を助ける為に表へ出てこようとしてくれてたらしいんんだけど私の拒絶が強くて無理だったとの事。でもこの日は、私の心が耐えられなくなり隙が出来たから飛び出してこれたのだと言っていた。
惠斗の意識が表に出てる時、私はその様子を後ろから見てる様な状態だったんだ。目の前で男子生徒を言葉で威圧している自分の姿に、私は呆気に取られたと同時に自分とは違う口調と少し低い声で話すのを見て惠斗は【居る】のだと実感した。
ふっと周りを見渡すと、クラスメイト達も私と同様に呆気に取られた様子で皆が息を飲んで固まっていたよ。
その様子を見て、私は思ったんだ。このまま惠斗が男子生徒を負かしてくれたら、明日から私をいじめてくる子はいなくなるんじゃないかって……
でも、同時にこうも考えたんだ。だけど、そうなったらまた別の誰かがいじめられ
るかもしれないって……それは嫌だなって思ってしまった。
いじめるなら、いじめられる方が良い。騙すなら、騙される方が良い。
裏切るなら、裏切られる方が良い。嫌うなら、嫌われる方が良い。
自分の心は自分で慰める事が出来るけど、他人の心は慰めてもきっと届かない。
そこまで思考を巡らせて、私は惠斗を押しのける形で表に出た。そして、男子生徒の顔を見つめてから吹き出して大笑いしてやったんだ。
その場に居た全員が、やっぱりあいつはおかしい奴だと思ったと思う。……次の日からも卒業するまでずっといじめは続いた。
でも、私は独りじゃない。心配してくれる真友と頼れる兄が居ると解ったから、私は前を向く事が出来た。
何より、神様と交わした約束があったから私は少しだけど強くなれたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます