幕間・3
彼女は、日曜の朝に礼拝を行いに出かけている。
朝日さんがしていたように、教会へ通うのだった。彼女たちの宗教が、完全なキリスト教かと言われれば、それはちょっとだけ違うのかもしれないけれど、それでも僕は思う。
人間には、何かの支えが必要なんだって。
人の行いじゃない、人智を超えた心の支えが。
僕たちのデートは決まって、僕が彼女の家の前で待ち合わせるか、それとも教会の近くのどこか違う場所で待ち合わせるか、というのがいつもの日曜の日常だった。
その日は、彼女の家の前で待ち合わせる。
僕は、帰ってきた彼女に、そのまま中に連れ込まれた。
「え?」
「ちょっとだけ、いい?」
「な、なにが⁉」
何が、起きているんだろ。
連れ込まれて、彼女の部屋のベッドを指される。
僕は、ちょっとだけ期待しながら、ベッドに横になる。
こんな始まり方になるとは、思っていなかった。
心臓が、痛いほどに高鳴る。
手足の先が冷たくなって震えてきた。
「いや、違うって」
「え? え?」
「もうちょっともってくれるかなーと思ってたんだけど、どうしてもダメだったんだよ」
「何がな――」
んですか? とは言えなかった。
その前に、ベッドの底がベキリと抜けたのだ。
痛みはなかった。衝撃は、マットレスたちが吸ってくれたから。
けれど、背中から落ちるというのは、想像以上の恐怖だった。
「大丈夫?」
「だいじょうぶ……」
なんとか立ち上がる。
さっきの震えじゃない、恐怖の震えだった。
僕は、それを声に出さないように押し殺す。
「ああ、そういうことね」
「ベッド買いに行ったりとかしないといけないから手伝ってほしくて」
「だったら、ややこしいことしないでほしいけど……」
「ん? 何か言った?」
「いや、何にも」
ルナは、僕の顔をマジマジと覗き込んだ。
彼女の顔をしっかりと見れず、僕は目を逸らす。
そんな耳に、彼女は「ダブルベッドにする?」って囁きかける。
「おおぉ……」
そんな意地悪で、真っ赤になった僕をからかうのだった。
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