第54話 ライトの矢 ①
「この叫び声は何だ?」
しばらく耳を澄ますと、さらに女子の泣き叫ぶ声が聞こえる。
「嫌、あなたたちなんか来ないで、あっちに行って!!!」
「ミヲカクシテモニオイデワカルゾオオ!!」
「グハハハハハ!ドコニイクツモリダ!?」
さらに人外の者と思われる低い唸る声が響いた。
亮はその声に聞き覚えがあり、反応する。
「この声は小栗さん?」
ピスコルも妙な声に気になる。
「この学校にお化けが現れたのか?」
「月高は歴史のある学校だから、昔からお化けの噂は聞いたことがありますが、これは何か違う気がします。師匠、俺は様子を見に行きます」
「うむ、行ってこい」
亮はピスコルに一礼すると、道場を出ていった。尋常じゃない事件性を感じたピスコルは鋭い目付きで亮の去る姿をじっと見ていた。
玄関に置いてある靴を履き、武道館を後にした。
亮はしばらく周囲を探ると、武道館から50メートルほど離れた野球場で莉央が3人の鬼人に囲まれているのを見つけた。
亮は声を出さないように球場に入り、ダッグアウトの低い壁に身を隠しながら状況を確認しようとする。
――あれは
金属バットを持っている莉央は、3人の鬼人に何度もバットを振り打ったが、鬼人たちの動きがあまりにも速く、バットがなかなか当たらなかった。
鬼人たちは莉央を嘲笑するような身振りで笑った。
「ハッハ、ツマラナイスブリレンシュウヲシテイルノカ?」
「ソノテイコウスルスガタ、ナンテカワイイダゼ!」
莉央は逃げる体力も抵抗する気力も尽き、恐怖に震えながら涙目でか細い声で許しを求めた。
「……何を言っているのか、知らない、行かせて……」
「早く小栗さんを助けないと!」
状況を確認した亮は思い切って、ポケットからメタルを取り出し、右手の親指と人差し指で挟んだ。速やかに五つの指で転がし、一回転させて腹腰に付けたマナの導引コアの鍵穴に差し込んだ。
亮の体はマナの光に包まれ、1秒も経たないうちにフィットしたスーツを着装した。亮の手前に現れたオカス・ソルスを見て、その変わった形状に不思議な口調で呟いた。
「これは先日に使った弓とはなんか違う?」
数日前に生成したシンプルな形のベアボウが個性的でワイルドな
亮は優月が教えたことを思い出した。
(
「まさか、この数日間にいろいろと弓矢の情報を調べた影響か?これで、やってみるか」
鬼人の一人は小栗が振り打ってきたバットを素手で受け止め、強引に奪い取って投げ捨てた。
「ムダナテイコウハヤメ、オレサマガカワイガッテヤルヨ」
三人衆の一人は爪を伸ばした手を上げ、莉央に襲いかかろうとした。
その瞬間、飛んできたマナの矢が鬼人の足先に突き刺さり、榴弾で土を打ったように土砂が爆散した。その威嚇射撃に驚いた鬼人たちは矢が飛んできた方向を振り向いた。何が起こったのか理解できず、パニック状態に陥った莉央もこちらを向いた。
「コノバクハツハナンダ!?」
「ア、アチラカラウッテキタカ!?」
「お前ら、小栗さんから離れろ!」
「キサマハナニモノダ!」
「ただの通りすがりの月高校生だ!また彼女に触れたら、今度は容赦しないぞ!」
亮は高校生の年齢で『月読のメシア』と名乗るのは恥ずかしいと感じる。眉を逆立て、鋭い目で鬼人たちを睥睨した。
「コノスゴイチカラヲテニイレタオレヲトメルノカ!?」
亮の警告を無視して莉央に掴みかかろうとした鬼人は、青い光に貫かれ、その腕が爆発した。
「バァ!!」と鬼人の一本腕が失われた。
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