第2通 郵便屋さんのアルバイト 雨の初日。

1990年の4月。

父親の友人が勤めているA郵便局での郵便屋さんのアルバイトが始まりました。


車の免許は持ってましたが、その頃の私の勤務先の郵便局では50ccのカブは無く自転車での配達となりました。


お仕事初日は忘れもしない雨。


支給されたカッパを着て郵政カブ(MD90)に乗った職員の方と配達先の現地で待ち合わせして郵政自転車で走ります。高校生の頃に年賀状の配達バイトをした事がありましたが、社会人になって自転車で郵便配達する姿はカッコ悪いなあと少し抵抗がありましたが、仕方ありません。

ひたすら待ち合わせ場所まで坂道を漕いでいきます。


職員の方と合流すると随伴訓練というものが始まります。早い話が職員の配達を後ろから着いて行き、配達の仕方を覚えるのです。


左手に持ったビニールカバーに入った地図と現在地点を確認しながら職員に着いて行き、配達先のポストに綺麗に投函するコツ、同姓の家が並ぶ所は誤配しやすいので地図に注意喚起の赤いマーカーで囲ってあり注意する事。

家によってはポストが無く、お菓子の缶の様な箱に入れる家など特殊な配達の仕方。二つ折り厳禁の郵便の配達方法等、教えてもらいます。

家によっては表札も無い家もありますので地図を見ながら確認していきます。


特に配達に関して注意する事は職員さんが丁寧に教えてくれます。

私が配属された班は割と話しやすい人が多くいろいろ教えてくれるのでその点はラッキーでした。

今にして思えば、他の班では未経験者のバイトや職員に対してもほとんど教えずに配達に行かせる荒法師の様な職員もいたので、そういう班に配属されていたら早々と辞めてたかもしれませんね。


この頃の郵便配達を行う集配課は朝8時から出勤して16時45分定時です。12時30分から13時45分まで局内で休憩なので12時頃には午前の随伴訓練を終えて郵便局に引き返します。雨の中、ひたすら自転車を漕ぎます。


500円でA定食、B定食を食べれる食堂があるので、そこで昼食をとりテレビを見ながら午後からの訓練に向けて休憩です。

もう、この時点でヘトヘトです。カッパを着ていたとはいえアルバイトに支給されるカッパは職員のカッパと違い薄いビニール素材なので雨も染み込み、隙間からも雨が入り込むので寒くて堪りません。高校生の頃の年賀状の配達のバイトとは配達先も違って勝手が違う環境に緊張感も増し増しです。


昼からも同じ様に随伴訓練です。

雨の中、自転車を漕いで職員の後ろに着いて走る。


(これから毎日これをするのか?)


折れそうな気持ちのまま初日が終わっていきました。



次回は自転車での配達を紹介しようと思います。


ご一読ありがとうございました。

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