四章 六点リーダー

〔後の先:新事実〕

ただ、蛇崩池の濁流が下屋敷に流れこんでいるだけではなかった。半壊している大村家の敷地内で、殺人事件が発生していたのである。

〔間四件の一:状況文〕

別府は裏口の土間で、佐々木の死体を発見した。犯行の目撃者は瑞木だった。瑞木に佐々木五郎が殺されたときの状況をきいた。さらに土間の状態を確認する。

〔間四件の二:観察文〕

別府は佐々木の死体をちかくで見ることにした。脳天が砕かれていた。血塗れだった。鈍器で殴り殺されたようだ。

〔間四件の三:移動文〕

別府は役人を呼んだ。現場の維持と土嚢の配置を命令した。濁流が弱まったあと、犯人が向かったはずの土倉へと急いだ。土倉内には大村昌村がいるはずである。

〔間四件の四:観察文〕

土倉の強固な門扉を破壊した。濁った水といっしょに、成人男性の身体が流れてきた。大村昌村である。昌村はすでに土倉内で殺害されていた。密室殺人である。

〔先の後:疑問〕

犯人は密室内にいた被害者をどうやって殺したのか。別府には、まったくわからなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る