第109話 断念

「アナウンサーって、早朝のニュースをやる可能性があるじゃん。私、低血圧で無理だから」

 私の長女のサツキはそう言った。

 でも、本当は数社受けてすぐに落とされて、なれなそうだからなのを私は知っている。

「あの高校、すごく校則が厳しいらしいんだ。そんな学校、時代遅れだから、やめた」

 私の次女のヤヨイはそう言った。

 だけど、本当は模擬試験で合格がほぼ無理と判定されたからなのである。

「私、絶対に諦めない」

 私の三女のウヅキはそう言った。そして、とても困難だったのに、宣言通りにやり遂げた。

「次はー、品川ー、品川ー」

 鉄オタの彼女はあの独特の車掌の話し方をマスターした。できれば断念してほしかった。

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