第97話 ポエム

 私は仕事人間だ。

 会社の業務が多いからだが、純粋に働くのが好きなことも否定はできない。

 今の時代許されないとわかってはいるものの、家のことは妻任せである。

「お母さん、最近ポエムを書くのにハマってるみたい」

 残業して夜遅く帰宅すると、起きていた娘からそう聞いた。

「ポエム? そんなことをするなんて初耳だな」

 寝室を覗くと、妻は眠ってしまっていた。

 そして鏡台に置かれたそれを記したらしきチラシの裏に、こう書かれてあった。

〈どっちらけ 昨日も 今日も どっちらけ〉

 どうやらかなり疲れているようだ。私は家事をやらないことを心底反省した。

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