「あなた、ずいぶん長い間、お墓参りをされていないのではありませんか？」

　最近、不幸や不運ばかりという女性に相談されて、霊能力者の前島幽玄は言った。

「それで、あなたのご先祖さまが怒ってらっしゃるのです」

「ふざけないでください！」

　女性は激怒した。

「確かにお墓参りには行けてませんが、私のご先祖さまは優しくて寛大な人ばかりです！」

　女性は帰っていった。真実を言ったまでであり、前島は何とも思わなかった。しかし——。

「うう……ううう。ギャー！」

　女性の言葉に感動した先祖が、「うちの子孫を傷つけおって！」と怒りの矛先を変えた。

　そして前島は連日悪夢にうなされる羽目になったのだった。

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