第77話 接し方

 おじいさんが横断歩道をノロノロ歩いていたのを見て、俺は柄にもなく手助けした。

「ありがとうございました」

「いいですよ、お礼なんて。おっと、スマホが」

 とっさにポケットに入れていたのが落ちそうになったのだった。

「あんた、今なんとおっしゃいました?」

「は? スマホ、ですか?」

「おぬしら若もんは、わしが『シーデー』など言おうものなら『シーディー』と直すじゃろ」

「え? はあ」

「それはスマートフォンなんだから、『スマホ』じゃなく『スマフォ』と言わんかい!」

 そしてスタスタ去っていった。年寄りは優しくするより怒らすほうがいいかもしれない。

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