第66話 それに比べて その二

「ねえ、由美ちゃんのお父さん、昔、競泳の日本代表で大会に出たんだって。すごいね」

「あんた、それに比べてうちはって思ってるんだろうけど、お父さんだって元日本代表よ」

「えー、あの冴えないお父さんが?」

「本当よ。ノリの良さ日本代表で、なんと世界三位で銅メダルをとったんだから」

「ノリの良さ日本代表? なに、それ」

「帰ってきたら、この通りに言ってごらんなさい」

 そして会社から帰宅して晩ご飯を食べる父に、私は母に渡されたメモの言葉を述べた。

「お父さん。お父さんて昔、のり弁当好き日本代表だったの?」

「そう、そう、そう、こののり弁当が大好きで、って、これのり弁当ちゃうやないかーい!」

 これで世界三位?

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