第57話 𠮟る

「昨日、犬の散歩をしてる人が、その犬を叱ってたんだけどさ」

 小学校から下校途中の徹が、友達の進に言った。

「その𠮟り方が、人間の子どもに向かってみたいで、すごく変だったんだ」

「でも、そうはいっても犬にだろ。うちの母ちゃんのほうがおかしいよ」

「えー?」

「今ちょうど見られるかもしれないから、来る?」

 そして二人は進の家に足を運んだ。

「あ、ほら、見てみ」

「わかったわよ! ピーピーピーピーうるさいわね」

 進の母が、配達された食材を移すので扉を開け続け、音が鳴る冷蔵庫を叱っていた。

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