第53話 ネガティブ鬼

 その鬼はいつも冴えない表情をしているのでした。

「おい、お前。鬼なのに、シケた顔をしてるなよ」

「だって僕、ピンク鬼なんだもの。日本の昔話に登場するのに、ピンクって」

「じゃあ、和っぽくすりゃいいじゃんか」

「でもそれだと、桃鬼で、桃太郎とかぶっちゃうよ」

「しょうがねえなあ。ちょっと来いよ」

 声をかけた鬼はピンク鬼を連れていき、遠くを指さしました。

「あいつなんか、タータンチェック鬼なのに、あんなに元気だぞ」

 しかしピンク鬼は落ち込んだ顔のまま、言葉を返しました。

「そこまでぶっ飛んでれば、逆にね」

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