第48話 朝、起きるには

「鹿取。朝練、ちゃんと来いよ」

 柔道部の主将である俺は、部員に言った。

「偉そうに。自分だって昔は遅刻魔だったじゃない」

 そう口を挟んできたのは、幼なじみの久美だ。

「だから俺は頑張って克服したのに、改善する気持ちが見えないから腹が立つんだよ」

「本人なりに努力はしてるのかもよ。何か、朝起きれる、いい方法はないの?」

「……そんなのあるかよ。気合いだ、気合い」

 本当は、あくまで俺の場合だが、効果的な方法はある。でも言えない。

「チャリーン。チャリ、チャリーン」

 目覚ましを、小銭が床に落ちる音にするなんて。

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