第31話 情熱と冷静

 私の学校の多治見先生は、熱狂的なサッカーファンだ。

「先生。今日、大事な試合なんですよね?」

「おお、そうだ。うおー! 頑張れよー、選手たちー!」

 代表の試合前になると、子どものように興奮する。

「あーあ、負けちゃった」

「途中までは良かったのにねー」

 そして翌日——。

「先生。昨日、残念でしたね」

「人生はそううまくはいかないものだ。いい勉強になったね」

 ところが試合後は一転して、やたら大人らしい態度になるのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る