第22話 一句

 新型コロナウイルスが流行してからのこと。

 高校生の少年が、自宅のリビングで、小学生の妹に言った。

「どこかで誰かが詠んだであろう一句な」

「……」

「俺んとこ コロナ前から 無観客」

「……」

 反応のない妹を見て、少年はその場から去っていった。

「ちょっと、和乃。なんでお兄ちゃんがしゃべってるのに、無視してたのよ?」

「だって、創作した大量の川柳を延々聞かされて、疲れちゃったんだもん」

「そう。外出自粛要請とかあったから、よっぽど暇だったのね、あのコ」

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