第33話 空から燃え落ちる破滅の火
「通してくれ!」
「ダメだ。おまえには
アリアドの街の出入口である大門では街を出ようとするジュードとそれを
つい先ほど、街の衣料店で買い物をしていたジュードは見たのだ。
通りを武装した
その先頭で
それを目撃したジュードは団長がプリシラとエミルの姉弟を取り戻そうと
そして仲間たちの元へ駆け付けるべく街を出ようとしたところで、衛兵に
「さっきここを
鬼気迫る表情でそう言うジュードだが、衛兵たちは決して彼を通しはしない。
それどころか2人がかりでジュードの腕を
「仲間とは赤毛の女だろう? あの女を
「言い逃れは出来んぞ。赤毛の女とおまえが、金髪の少女と黒髪の少年を、
口々にそう言い
(くっ。あの
ジュードは先ほど銀貨を渡して心付けをした衛兵らに
「あんたたちの数晩の飲み代は渡したはずなんだがな」
「何の話だ? そんなものを受け取った覚えは無いが」
平然ととぼける衛兵にジュードは
(ジャスティーナ。頼む。子供たちを守ってやってくれ)
ジュードは無念の表情を浮かべながら、相棒がうまく難局を乗り越えてくれることを
衛兵たちはそんな彼を連行しようとした。
その時だった。
遠くで何かが破裂するような音がして、その数秒後……アリアドの出入口を守る大門が大爆発を起こしたのだ。
その衝撃で衛兵2人とジュードは地面に倒れ込んだ。
「うわっ!」
何が起きたのか分からなかったが、その後も立て続けに破裂音が響き渡り、ジュードはそのあまりの衝撃に思わず目を閉じる。
大きな爆発音のせいで聴覚に異常をきたしたらしく、全ての音がボンヤリと聞こえる。
「うぅ……」
ようやくジュードが顔を上げると、彼の
2人とも気を失っていた。
周囲は白煙に包まれ、
その風が白煙を吹き流し、見えて来た光景にジュードは
「そ、そんな……」
彼の数十メートル先にあったはずの大門は……
その大門の
いったい何がそのような恐ろしい事態を引き起こしたのか、ジュードにもすぐには理解できない。
だがそこで再びの破裂音がしたかと思うと、すさまじい衝撃音と共に今度は数百メートル先の街中の建物が爆発し、赤々とした炎と煙が燃え上がった。
ジュードは目を見開いて、
「と、投石機に油でも積んで飛ばしているのか?」
ジュードは
その目がさらなる
その数は数百人。
「まずいぞ……これは」
アリアドの街に向かって来るのは
今、この街を攻める兵士がいるとすれば、それは王国兵をおいて他にいない。
だが、その襲来はあまりにも早かった。
まだ王国軍は公国の北部を攻めているはずで、このアリアドのある中央部までは距離があった。
「主力部隊の他に別働隊がいたのか……」
そしてジュードの頭には当然の
「ジャスティーナたちは無事なのか?」
あの兵士たちが向かって来るのは、ジャスティーナたちが潜伏しているはずの林のある方角からだった。
もし
そう思いジュードは
しかし……。
(まずい!)
ジュードは即座に自らの感覚を閉ざした。
自分とエミル以外に
それをジュードは感じ取ったのだ。
そしてその相手は1人ではなかった。
(組織された……
エミルに意識を
その数はおそらく十数名。
こんなにも
だが、そんな唯一無二の集団をジュードはよく知っていた。
王国で組織された
軍事任務用に訓練された
かつて……ジュードもそこに所属していた。
ジュードは前方から向かって来る兵士の集団に目を向ける。
(まさか……君も来ているのか? ショーナ)
その名を胸の内で
ショーナ。
ジュードにとっては幼い頃から共に育った
(まずいな。ショーナが来ているなら俺やエミルの存在ももうバレているかもしれない)
こちらがあちらの存在を感じ取れるように、あちらもこちらの存在を感じ取れる。
この状況で
ジュードは立ち上がり、
そして向かって来る敵兵から逃れるべく、街中へと引き返して走り出すのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます