第30話 熟練の戦士
プリシラの強さはジャスティーナにとっても想定外だった。
しっかりと
ジャスティーナが想像していたよりも
(だが……)
ジャスティーナはプリシラの周囲を見る。
倒れている
プリシラは一貫して敵の命を奪っていない。
刃物を振るう時は急所を
後は拳や
(そうか……まだ人を
まだ13歳なのだからそれも当然だと思った。
だがそんな甘さは戦場では通用しない。
今、プリシラの背後で倒れている
それを見たジャスティーナは怒声を上げる。
「後ろだ! 油断するな!」
その声にプリシラはハッとして背後を振り返った。
そして顔を赤く
さらにその顔面に再度、拳を打ち込んで相手を再び失神させる。
その様子を見てジャスティーナは
「チッ! トドメを刺せ!」
戦場で殺したと思った敵が実は生きていて、逆襲の刃を浴びて命を落とした者をジャスティーナは何人も見てきた。
敵の息の根を確実に止めなければ、殺されるのは自分だとジャスティーナは師であった武人から口
(甘っちょろいんだよ。ヒヨッコめ)
プリシラの元に駆けつけるためジャスティーナは周囲の
敵の集団はプリシラを捕らえるために人員を多く
ジャスティーナに邪魔させずにプリシラを捕らえる腹づもりなのだろう。
だがジャスティーナはそんなことでは
「攻めてこないなら好きにやらせてもらうよ」
周囲を取り囲んで一定距離を保っている
そして代わりに短槍を放り出すと短弓に矢を
それを見たジャスティーナの周囲の
「矢が行くぞ! 用心しろ!」
しかし矢はプリシラを取り囲む
木々の間を
倒れたまま動かなかった
「なっ……」
「こ、この女!」
ジャスティーナを取り囲む
するとジャスティーナは次の矢を
その
その
「えぐっ……」
眼球を深々と貫かれた
それを見た周囲の
すると再びジャスティーナは
月明かりが差し込んでいるとはいえ夜であり、しかも木々が乱立する林の中でジャスティーナは正確に矢を命中させていく。
周囲を敵に囲まれた状況で、集中することが出来ないというのにジャスティーナはそれでも一射も
「な、何なんだ……この女は」
ジャスティーナの腕前に
相手は熟練の戦士であり、近寄れば確実に殺される。
そんな彼らの
「戦の後に生き残れる奴は、賢明な判断が出来る奴さ。命を落としてまでやる仕事かどうか、判断しな」
戦意を失わせるのは死への大いなる絶望と、その後に生まれる生へのわずかな希望だ。
生き残れるかもしれない。
絶望の中でほんの少しのそうした希望が
砂漠島で多くの戦乱を経験しているジャスティーナはそれを知っていた。
そして短弓を放り出して駆け出す彼女をそこから追おうとする者はいなかった。
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